グロリア・ユニオン Gloria Union -Twin fates in blue ocean-

ジャンル:シミュレーションRPG
メーカー:スティング
対応機種:Switch
ダウンロード版入手先:https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000036655.html
備考:フルボイス、各種視力補完要素あり

はじめに

Windows11のExplorerは、一度でもAltキーを押しますと出られなくなるのでございます。
脱出へはF6キーやTabキー等を用いる必要があり苦労いたします。
実際一度目のAltキー入力状態ではEscキーでファイル一覧へ戻れるのですが裏技領域と解釈して差し支えない隠し要素。
一方でTabキーを押してから左右で読み上げる箇所でEnterを入力すればファイル名順、更新日順等に表示中のファイル一覧を手軽にソートができ、オンラインストレージとのデータ同期状況も表示可能。system32内の表示も32ビット時代は一覧表示まで数十秒必要だったのが現代は一瞬と、良いところもまたExplorerには数多くございます。
グロリア・ユニオンとはそのようなゲームソフトでございます。

ゲーム概要

敵と味方がユニット(コマ)を交互に動かすシミュレーションRPGでございます。
ZRボタンで手数の巻き戻しができまして、納得行く結末まで好き放題に運命の輪を巻き戻せますシステムは視覚障害状態でゲームプレイ時に不可避である「試行錯誤」を大いに助けて頂けます構造。講堂終了後にZLを入力してからAでターン終了、これを繰り返すのです。
メロディアスな素晴らしいBGMをバックに素晴らしい猫ちゃんをば伴侶としながら軍隊と皇帝しかおらんのかと疑われる帝国に追われつつ己の血の宿命に翻弄されるさなか、しかし果ては少年バトル漫画風スポーツバトルを義父様とレディーゴーしたい、ストレスがかかると情緒不安定になることが特徴の人情楽天青年イシュトが巻き込み巻き込まれながら戦う物語。
EASYモードでは出撃していないメンバーは自動回復、レベルアップ時にもHPが回復、緩いプレイが容認頂ける安心感はなお視力を用いない状況を安定させます。
会話中にXボタンで台詞はオート進行、様々なメニューに効果音あり、UIを理解すれば手動でコマ動かす楽しみがあるSRPGとして十二分に「ゲームとして」お楽しみ頂ける作品であります。

偉い人に任せるとは

上記の見出しはAルートエンディングで主人公イシュト青年の語った言葉。ネタバレから文脈は伏せますが、是非はさて世界の秩序を根本的に塗り替える破壊することを行い一種の無秩序がある状態にあってその収拾という大切だがとても面倒な仕事を、triggerを引いた本人が投げ捨てたとも解釈できるこちらのコンテキストには結構な辛さがありましたことでした。
本作の物語にはこうした種類の不可思議がそこここにございます。「人の命」を取り扱うエピソードとカジュアルギャグが併存する場合にはその緩急が魅力となる場合もあるものですが、ありのまま横並びに置いてあるものですから結構プレイ時のテンションに困ると申しましょうか。
ですが次の2要素は、上記を流しせしめて十二分なのです。
まずは何はさてゲーム部分を視力を用いずプレイできること。
そうして物語にあってはもうピンガーちゃん、彼女の素晴らしさに全てが凝縮されていることを表明せずに折れません。
自称海賊なトレジャーハンターである主人公イシュトと共にある猫人間少女ピンガー、1話からイシュトに全身全霊で惚れている。猫のクールとそれこそ併存するものですから本人の「甘えたいとき」のテンションアップのリアルなこと。
物語終盤、皇帝のため殉死する軍属の高潔へ接し、自分もあのように生きたいと語る様子は首尾一貫する彼女の「イシュト好きすぎて堪らん」精神の果てに語られるからこその重みがございました。
続いてキーラさん。物語終盤に現れる古代海底都市の番人であられるこちらのお方はラストバトルの舞台として浮上させられたことに混乱しつつもしっかりと主人公らを迎え撃ちます。その際に大陸が沈んだ経緯を諸々主人公ズに問われ「そんな昔のこと覚えているわけない」といきなりの関西弁でつっこんで来られる実に素敵なお方。本作は男性と女性でユニットの陣形に関わる性能が異なり連係攻撃へ大きく影響するのですが、こちらのキーラさんは男女両方の性質をお持ちの方でとてつもなく強い。が、ただ仕事をしているだけとの気安さと普通に主人公らと話をしている様子に安心感、コミュニケーションの大切さを教わるお方です。
他にも地獄のお役所は悪魔局死人管理部罪人課という役所に所属し課長から怒られぬようグロリア世界で仕事を果たすべく実直に働くラズベリーが語る「死語は絶望ばかりでない」との出身者由来の説得力ある発言はピンガーと彼女に関連するとある敵キャラ双方の魂を安らげる活躍をいたしました、「だが残念だったな、私の下半身は魚だ(迫真)」と主人公らに捕縛されたと勘違いしたときに堂々と言い放ったウンディーネ族フィービーは「帝国と戦う」この物語にあって忠君とネーション由来の文化の価値を体現する人物としてグロリア海賊団で活躍、それが味方一団の中での「個性」と描かれる素晴らしさがこの世界は強権的自由の支配する無秩序な未来とはならないだろう後日談を思い起こさせます。
こうして一つ一つのシーンや人物をピックアップしますとそれぞれに面白いところが思い出される。物語のなにもかもがよくわからない、決して本作はそのような作品ではございません。ただ、真面目とお笑いのペース配分の難しさに直面されつつ完成された。大海原への船出の如く、大変意義深いチャレンジと考えます。

おわりに

Switchである素晴らしさが輝く作品です。
ゲーム中にLとRを押しながらプラスボタンで確認画面が現れ、右側でAを押せばタイトル画面へ即時戻れる。
なんとなくライフワークよろしく愉しんで頂くには、気負わずカジュアルに接するには素晴らしい作品であります。
ステージ数が多いことから取り返しが付かない場面がそれほどないこと、不可逆な物語にあってもプレイヤーのレベル上げに気を回すボリュームの余裕がしっかりとある構造がRPGを愉しむ心の余裕をプレイヤーに与えます。
Aルートでは事態収拾を投げ捨てるような発言をしたイシュト。しかしCルートの結末では真反対の行動(発言ではなく行動)をして己の責任を果たします。
違和感を解決するハッピーエンドの中のハッピーエンドが分岐結果の結末として準備されている。これはとても素晴らしいことです。
道中長くございます。逆説的に、結果論であってもシステム部分が視力を用いずプレイ可能な作品が長く楽しめる。視力を用いない場合に例えばレース、パズル、RPG、MMORPG、サンドボックス、オープンワールドのプレイが困難である如く、シミュレーションRPGであってもプレイが不可能な作品の方が多いのが現実です。選ぶ余地がどうしても減ればこそ、プレイができる作品にボリュームがあるのは素晴らしいことと考えます。
肌に合うか合わないかではなく、作品内に肌の合う部分を探す愉しみ。その確実に存在します本作はより広く愛されるタイトルと信じてやみません。
よろしければぜひお試しください。
  それでは今日はこのあたりにて。

視覚補助情報

以下、本作を視力を用いずプレイするに際して活用可能な具体的情報を記します。

タイトル画面

左右移動、Yボタン=オプション、Xボタン=ギャラリー
項目は左から順に
NEWGAME CONTINUE LOAD

会話中操作

Xボタン=オートOn/Off
上キー=ログ表示(無音なので注意)
Bボタン=シーンスキップ(いきなり反応するので注意)

SRPGパート操作

自ターンでまず左右キーで、出撃前にセットしたタクティクスカードを選択するところからスタート。
カーソルが上下左右移動可能となったところから説明。
マップは将棋のようにマスで区切られていて、上下左右はそのマス単位での移動となる。

Rボタン=味方ユニットにフォーカス
Aボタン=移動指示(味方全体でタクティクスカードに表記されたマス数を移動可能)
Yボタン=攻撃指示
ZRボタン=巻き戻し(最高、自ターン最初のタクティクスカード選択まで戻ることが可能)
ZLボタン=ターン終了確認 Aボタンで自ターンが終了し敵ターンとなる。

バトル中操作

右キー=攻撃重視指示
Xボタン=設定表示、最も上の項目がバトルスピード設定で右ほど早い)
Lボタン=バトル演出の加速、通常の交互切り替え

セーブ方法

ステージクリア後、BGM変化と共に左右移動可能となったら
左側でA、上下左右でセーブ先ファイル選択、Aでセーブ実行となる。
セーブが終わればBボタンで戻れるだけ戻り、今度は右側の項目を選ぶことで次のステージへ進める

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