封神領域エルツヴァーユ
ハード | PS |
ジャンル | 3D格闘 |
備考 | フルボイス 効果音モノラル 振動無し |
はじめに
「面白いゲーム」。
考えてみればこれほど謎のフレーズもありません。
面白さを感じる点は全く人それぞれ故にこそ様々なゲームレビューサイトがあり、その中から自分の感じる「面白い」に符合する要素を含んだ内容を抽出&参考し購入の資料とする。
その役割を果たすべく筆者自身が面白かったと感じた点をまず軸にして、ここの文章を作っていけたらいいなと考えています。
さて、私は格闘ゲームが好きでも嫌いでもなく、興味あるタイトルを見つけたら遊んでまいりました。
その中で特に惚れたタイトル、ソウルキャリバーIIやblazblue、超ドラゴンボールZ(PS2)などは本当に思い出として深く印象に刻まれています。
それらの「何」を楽しんでいたのかと回想すると、どうも対戦ツールとして以上にルール自体の面白さやBGMや演出から醸し出される空気感を好いていたように思い出されます。
そうした視点から今回のエルツヴァーユを見た時にたまらなく面白かった。そんな背景からこの度ご紹介をさせていただきました。お楽しみいただけましたら幸いです。
それでははじめましょう、イ・プラセェルへようこそ。
ストーリー
多次元に同時存在する生命体「イハドゥルカ」。
その脅威にさらされている異世界、イ・プラセェル。
各国合同の作戦により、多大な犠牲を払いつつも、一時的にイハドゥルカをエルツヴァーユへ封印することに成功する王達。
だが、依然として変わらぬ危機的状況から、彼らは力持つ異世界の人間の召喚を強いられる。
様々な思惑を絡ませつつ展開される大規模な召喚計画。
被召喚者の選出基準はただ一つの要項に限られた。
イハドゥルカに対抗し得る力を持つ者……
召喚されし者達は戦いを決意する。
ある者は大切な存在を守るため、
ある物は更なる力を得んがため、
又、ある物はイハドゥルカを愛するが故に。
そして総ての事象は、エルツヴァーユへと収束する……
以上、冒頭ナレーションより引用しました。
このプロローグがセル・ロイエンタール・アウグストゥス・アナゴさん・大文字長官でおなじみ若本規夫氏のナレーションにより語られるオープニング冒頭、そこから間を置かず流れるOPテーマ、奥井雅美さんのkiss in the darkの怒濤なる流れは大変な迫力であり、プレイヤーのテンションを熱くゲーム世界へ引き込みます。
続くゲーム部分 格闘ゲームとしてのエルツヴァーユ
タイトル画面へ来たなら任意にオプションを変更後にいざゲームスタート。ストーリーモードを選んだら各登場キャラを主役としたテレビアニメ風に物語がすすみます。
その内容へいく前に、まず本作のゲーム部分をご説明いたしましょう。
まず基本。使うボタンは方向キー、四角ボタンの攻撃、三角ボタンの防御と3つ。…本当にこれだけです。
四角ボタンを連打すると3段まで連続攻撃が繋がりその途中で上下左右何れかの方向キーを押しながら攻撃ボタンを押すことで様々な技へ派生できます。
例えば超必殺技の発動コマンドは全キャラ共通で左左四角、すなわちキャラ毎にコマンドを調べる必用がありません。上を押し続けながら四角を押すのと意図的に上上四角と押すのでは挙動が異なってくるなど深めれば色々あるのですがプラクティスモードで自由に練習ができますのですぐに慣れていただけることと思います。
ガードは総ての技を防ぎ、上段中段下段といった初心者泣かせの区別がありません。投げ攻撃(下+四角)がそれを崩す手段になりますがガードを解いてからの反撃は比較的早く、空振りによるリスクが生じています。
インストカードや攻略Wikiを見ながらでなく自力で試行錯誤し上達する愉悦を、ぜひ存分にお楽しみください。
目を用いずに行うプレイでは距離により攻撃が自動で遠距離/中距離/近距離と切り替わるので(初代Another Century's Episodeのような仕様)、敵が離れたところにいるのに近距離パンチばかり出して空振りまくる情けなくも惨めな状況と無縁であるのは嬉しいところです。特に音声がモノラルな本作にはなお有り難いシステムですね。方向キーではなくボタンでガードできるのも相手の方角を目視確認しないで良い意味において親切な点と思います。
必殺技を出すには攻撃ボタンを長押ししてゲージを貯める必用があるのですがこのゲージ、こちらの体力が減るにつれて上昇速度が上がります。そのチャージ時間をどうして確保するか、相手のダウンタイミングは何時発生するのか。そうした理解を重ねることがつまり経験となりプレイヤースキルとなっていくよう作られています。
* 格闘ゲームとしての面白さについてより詳しくはぜひ外部サイトを参考いただき、本作の持つ駆け引きの面白さを感じていただけましたらと思います。
参考サイト エルダーアイン様:http://www31.ocn.ne.jp/~elder_ein/review/eretzvaju.htm
CPU戦
以下は難易度EASYについて解説します。
どのキャラでも4話辺りから相手のガードが実に厳しくなります。
上述のとおり本作のガードは優秀ですからそれをどうやって崩すかが課題になります。
確実なのはCPUを混乱させること、つまり様々な種類の攻撃を当てていくことでこちらの隙ができるタイミングを散らせてそこでできる相手の隙を突いていく方法です。
それからプラクティスモードで投げの練習をする、そうした「様々な技」をランダムに振っていく練習をするなどが有効な対策になります。
特に多くの場合で上上攻撃のジャンプアタックはその踏み込みアクションと併せて距離調整にも仕え、近接戦に持ち込むための材料として役立てられます。このあたりの方法を吟味し熟考し慣れていきながら本作の戦いを楽しんでいただけたらと思います。
方向キーと攻撃ボタンとの組み合わせでどうしたらどうなるのを順に、あるいは経験で理解しながらゆっくりとすすめていってください。
本作のストーリーモードには中途セーブがなく、最初はクリアするまでが結構量力を要することもあると思います。
生まれて初めて遊ぶ格闘ゲームが本作である場合はともすると面倒に感じられる部分があるかもわかりません。それを含めて気長に楽しんでいただけましたらと思います。
* オートセーブの有効化には下記オプションの解説項をご確認ください。
登場番組紹介
さて、本作メインのストーリーモードは一キャラ一番組構成となっています。それぞれ番組&キャラ特徴をまとめて紹介いたします。……ネタバレ避けつつがんばります…。
なおゲーム中もタイトル画面からストーリーモードを選択すると次の順で番組が並んでおり上下で選ぶようになっています(端で循環あり)。その方面でもぜひ参考いただけましたらと思います。
完全懲悪ダンザイバー
召喚された側代表、初期カーソル位置の熱血ヒーローでございます。
マクロスも驚きの超三角関係が物語裏で進行中なのはさておいて、まずは主人公が木訥な正義漢なので好感度マッハです。
予告ナレーションはガオガイガーに宇宙刑事の雰囲気。下四角の投げ技は衛星砲が敵を直撃(システム的には投げ技なんですけどね、これ…)
ゲージを貯めて左左+攻撃で出せる超必殺は敵を捕縛し袈裟切り、名付けてダンザイバースト!!実に「らしい」です。予告編の決め台詞でもあるこの技はぜひトドメ一撃に演出として使いたいものです。
こうして自然とプレイヤーに「見せる」戦いを発想させてくれるのは本作を作られたユークスさんがプロレスゲームを多く手がけておられるノウハウを注ぎ込んで作られればこその面白さでしょうか。
入り口としても実に分かりやすい、こうした特撮な空気のお好きな諸氏は、ぜひ遊んでみてください。ロスト・レガシィ
レガシーでなくレガシィとなっているのがしゃれています。
アルティ・アル・ラーゼルくんなるしょたっこを主役とする物語は頗る王道、イ・プラセール側の立場から見た視点の物語で、上から2番目に配置される番組としてプレイヤーをこのゲーム内世界全体へと程よい案配に引き込んでくれるのが彼のシナリオです。
イ・プラセール側の人間且つ少年で、描かれるのは自分の立場と理想の狭間に身を置く事への葛藤。その答えを物語を通して見つけていくのですが師匠ブライン先生のおっしゃるとおり、その流れは陳腐でも大変良いものがありました。
火系魔法を操る具合は実にファンタジック、そうした雰囲気のお好きな方に気に入っていただけるシナリオではないでしょうか。
予告編に必ず入る「それは、次回までのお楽しみといたしましょう」のフレーズ、タイトルコール後入る台詞は次回本編でも用いられるものであると、王道にて熱い構成。そしてエリル(後述)との交流。トータルで明快さの光るこの物語は物語を楽しむ楽しみそれ自体を視聴者たる我々に教えてくれているかのようです。天法院掃魔奇譚 外伝
深夜ラジオ風な予告編の素敵な本番組。
その予告とは次の対戦相手から届いた悩み相談のハガキを読んで応えていくもの。
そして次回番組本編ではその相手をかなり容赦なくSATSUGAIしていてかかる凶行におよんだ背景も最後の砲にアカされる辺り、ナチュラルに冷静に狂った人間の恐ろしさはファンタジーのボスキャラの全く及ぶところでないのであるなと実に勉強になります。
あ、あと、外伝は無事終わったので、本編、待ってます。MoeMoeエリル
愛する人のためたたかってるヒロインはなんて可愛い・・・・・・・・・・・・・。
といった歌詞が熱唱されるBGMに載せて闘うエリルさんのステージ。この物語ではその彼女が主人公です。
連続技中に上+攻撃で出せる技は連撃乱舞系なので使い勝手が良く、本編の尺が短い本作にあって、予告編がうまい具合に合間を補って描かれているのが楽しいです。そして、アル君との純愛万歳!
挿入歌の存在や一見スィーツなタイトルや台詞から各所でネタキャラ色物キャラとしていじられる彼女ですが、殊アル君への思いについては一切ちゃかしふざける風がなく至って真面目。終盤彼を説得して死地へ赴くにあたっての彼女のヒロイン宣言には大変納得し同時に肯かされました。どのような主義でも貫くのは骨です、それをまさに愛の力で遂げている彼女はとてもかっこいいお人と思います。絶対熱血 みどりがイチバンっ!
スポ根物と子供番組を足してエルツ風にまとめた明るい作品。
主人公姫野翠さんの一貫し前進するその様はただの猪突猛進と思いきや、2話のガリィグレッグマン戦の掛け合いで己がポリシーを語る場面でその心情の素敵さが現れます。
そうした人情キャラな魅力と生来の明るい空気とでイハドゥルカ由来の絶望もその「彼女の人生の中途にある出来事の1つ」と視聴者に思わされる威力。これこそ本作の魅力ではないかと思います。長寿番組としてずっと続いて欲しい内容と申しましょうか…。
あ、あときっといつか素敵な彼氏が絶対できますよ。…むしろ続編出ぜひそういうシナリオ希望いたします!ガーディーエンジェル セツナ
しゃべるつるぎとおともだち、なお話。
絆の美しさ共依存の危うさ。両方が大変緻密に描かれております。
声を合わせての必殺技はとても盛り上がるシンクロ。後のシャハルの話と対比することでなお面白い物語でもあります。
この物語にのみ関してはむしろ本編以後彼女らがどうなるどう成長していくのかがなお楽しみな案配で、あらためて本作の緻密さがその描写に思われました。
ラスボス直前の本編パートはその描写が極まった演出にて必見です。Kltzy Rogue
クラッツィ・ローグと読むようです。
ガリィ・'バニッシュ'グレッグマンを主人公とした「仕事」の話。プロのバウンティハンターとしてイハドゥルカ討伐を請け負います。
請け負うのですがその予告編で描かれるのはさやかさん(奥様)と愛犬キリとの心温まる日常。ああ、これが為彼は仕事人たりえるのだなと肉体的に実感される演出が心温まるやら羨ましいやら。
これもエリル/アルカップルと違った格好で描かれる純愛の故でしょうか「リア充爆発しろ」でなく「リア充おしあわせに…」と言いたくなるこの雰囲気は大変大切なものなのだなと思いました。得がたい物を得ること、しかしてそれが達成された後はそれを全力で守り言祝ぐことの大切さ。そんなことを教えてくれるトレンディな魅力溢れる番組です。Day Breaker
上述したような様々なDayを悉くbreakしてくれる最悪な雰囲気を纏い誇るのがこの物語です。
狂気への渇望はあれど魂は惰弱貧弱、話が進むにつれその「結果」が表出してくる流れは絶妙。前半の直接こそ描かれないにせよこれまでのキャラを明快に屠っている描写、それが全くどうした大義も意味も無い純粋な殺戮である点をふくめてどうしようもない物語であります。
そのどうしようもなさがやがて物語終盤にとある格好で結実するのですがそれが極まるのがラスト漏らすと、スタッフロールが終わって以後の最終台詞。
ベリーがベリーたれることを引き立てるヒールはどういう存在であることで物語を彩る真実として意味を持つか。その試行実験の成功結果としてあまりにも「やられた」なこの物語は実にユニーク。
本作で描かれる数種の悪の形として打算と愚行を極めた結果はどう決着するのか。ぜひ体験してみてください。夢幻歳華
幽祢(カクリネ)ちゃんの…ポエムのような…日記…のような予告の面白い本編。
この娘、全く人の話を聞かないのがおもしろおそろしくその故が明らかになることで物語根幹の一部に振れられる意味でのユニークキャラ、キーキャラでもあります。
投げ攻撃の捕縛時間が結構長く、敵に回すとそのトリッキーなモーション含めて実にめんどくさい相手。所謂CPUが使うと強いキャラであります。封神領域エルツヴァーユ
ストーリーモードを3人以上クリアすることで出現する物語。
リストの最も下に追加される最後の物語です。
三キャラクリア後スタッフロールの終わった直後の演出にぜひご注目ください。
おわりに
さて、キャラ紹介はいかがでしたでしょうか。
格闘ゲームを何故遊ぶのか。この命題を言葉を換えて考えるとゲームはごっこ遊びなのかコミュニケーションツールなのかの議論になるよう思います。
以下私見ですが、前者は如何に爽快にヒロイックに戦えるか、それがCPU難度を含めてどれだけ手軽でバリエーション豊富かといったヒロイズム、後者は対人戦における「駆け引き」を実現する容易さではないかと考えます。
どちらかに限定する行為自体がナンセンス極まると思うのですが、本作のようにその両方が楽しめる(初心者がそう思える)作品は、個人的にすばらしいとあらためて思う次第です。
ガードに上中下段が無くても、必殺技にコマンドが施されていなくても駆け引きが成立する環境。格闘ゲームに憶えないと勝負にならないイメージをお持ちの方にこそぜひ本作をおすすめいたします。
それは技性能の強弱であったり通常攻撃のリーチや隙、技後の硬直等が全キャラ別々に設定されていることがその理由で、その次元での「駆け引き」が可能である時点で十二分に読みアイが発生できるのです。
通常攻撃の速度差、ガードと投げの駆け引き、技の派生を読んだ硬直間への攻撃の差し合い、ジャストガードを決めての相手のよろけ(0.3秒ほど)を戦略に組み込む戦い。
自分の憶えていない知らないコマンドの技をくらってあたかも知識差からやられる経験が極力起こりにくい本作。これが丁寧な演出と重なることで不慣れな人間を大変安心させてくれているように思います。
故にCPU相手にも直ぐに「駆け引き」が楽しめて、その楽しみはそう時間の無い間に面白さへと変じます。
上述の通りCPU戦はガードを崩すのが大変ですがそのための試行錯誤の回答が色々な技を使う構造なのも、考えてみれば「見せる戦い」を自然とプレイヤーの体に刻んでいるようにも思います。
その絵面自体が、すなわち楽しい雰囲気をプレイヤーに伝えてくれるのです。そして魅力的な物語がそれに花と背景を添えます。
オプションから入ることのできるエクストラコンテンツの中にBGM聴取ができるところがあり、ここで音楽を流していると後ろがスライドショーになっていて30秒に1度くらいのペースで背景が変化していきます。
こんなところにもプレイヤーを楽しませてくれるギミック。そうした魂の終始一貫徹頭徹尾貫かれた本作は本当にいいゲームです。
まだ遊んだことのない皆様は機会があったらぜひ遊んでみてください。殊更パロディやオマージュ描写がお嫌いでなければきっと楽しい時間を過ごしていただけることと思います。
悲しくも切ない、まだ一部ネット通販では新品が流通しています。
もし将来アーカイブスで配信された時にPS3で遊んでいたならばPSPやVitaにデータを移すことができます。その準備がてら今のうちに購入しておくのも決して悪い話ではありません。
ともかくも「楽しいゲーム」を目指して作られた本作は近年のblazblueやP4UのようにCPUの低難度による簡単さは感じにくい分少し敷居は高いです。が、それを「乗り越えよう」と思えば不可能ではない絶妙な難易度。もしよろしければぜひ遊んでみてください。
では、今日はこのあたりで。
視覚補助情報
タイトルメニュー
ゲーム起動後、オープニングムービーが流れ終わった後(あるいはスタートボタンでスキップした後)に表示されるメニューです。
構造は上下循環、項目は以下の通りです。
オプション
上記タイトル画面からオプションを選んで表示されるメニューです。
上下で移動、左右で設定変更、上下左右共循環あり。
* 左右の循環は端で突き当たりません。