SENオンラインストアのスクリーンリーダーによる利用の実践について

Sony Computer Entertainmentの運営するSENオンラインストアでは、新作から過去の名作までを網羅したプレイステーションシリーズタイトルをはじめとする名作がダウンロード版として購入できます。
2013年5月29日、PCやタブレットにも標準搭載されている汎用ブラウザで利用可能なこのストアがオープンして以後、PCのブラウザは勿論のこと各種タブレットやスマートフォンで出先からタイトルの購入や家庭のPS3/PS4/PSVitaへのダウンロード予約などを楽しめるようになりました。
しかし、その便利がiOS7やWindows8.1といった新鋭プラットフォームの登場により、これまで利用が全く困難であった層へも徐々に浸透しつつあることをご存じでしょうか。
古くからiOSシリーズには、視力の不自由なユーザーの利用を助ける「Voice Over」という機能がOSレベルで組み込まれており、追加の費用を支払うことなく画面を目視せずにタッチデバイスの操作が可能な環境を構築することができるよう作られています(Windows8の'Narrator'も同様)
これら技術は「スクリーンリーダー」と呼ばれ、画面上の文字情報(テキストデータ)をソフトウェアが解析し、合成音声によりリアルタイムに出力する障害保障技術です。合成音声と言えば、メロディデータと歌詞情報を入力することで機械へ歌を歌わせることのできるボーカロイドが有名ですが、それと近似した技術により視力の代わりをするものとなっています。
今回は、SENオンラインストアがInternet Explorer 11+スクリーンリーダーの組み合わせで利用可能なことが確認できたので、実際の利用方法とそこから見えてくる本ストア全体の魅力について紹介します。

はじめにSENアカウントを作製する

まずはストアの利用に際してSENアカウント(旧称PSNアカウント)を作製する方法について説明します。
この登録によって、SENストアでのダウンロード版ソフトの購入が可能となります。ですので、そのために乗り越えないと行けない最初の壁とも言えます。
(既にアカウントをお持ちの場合は次章へお進み下さい。)
WindowsPCからはこちらのページより登録をいただけます。
平成25年12月31日現在、アカウント登録画面下部にはスクリプトによる自動登録を防止するための認証として、画像内の文字を目視で読み取り書き写す方法に加えて音声の聞き取りによる認証も併設されており、視力を用いない状態での登録はかなりやりやすい構造になっております。
音声での認証は、連続3~4文字×3で読み上げられる数字を聞き取りその文字列を記入するというものですが、かなり慣れが必用な難易度であるよう感じられました。実際に聴取しご利用の際は、ヘッドホンなども利用しつつトライをいただければ幸いです。

さて、無事アカウント取得を終了すると、次はSENアカウントへの「機器登録」を行います。こちらを行うことで、ブラウザを用いて購入したダウンロード版ソフト、ないしはダウンロードコンテンツをPS3、PS4、PSVita、PSPへダウンロード出来るようになります。そのアクティベーション処理を行います。
この操作はゲーム機本体を利用するのである程度の視力を要するのですが、PS3/PSPの場合は下記のユーザーズガイド(マニュアル)をスクリーンリーダーと汎用ブラウザで利用することである程度の自力解決が可能ですので、ぜひ参考ください。
PS3 PSP

PS3/PSPについては起動直後の画面(クロスメディアバー)の操作においてカーソル移動音があり、そちらを参考にある程度視力を用いず操作が可能です。
PS3の場合、例えば上記マニュアルでは
「ユーザー 設定 フォト ミュージック・・・」
とリンクが並んでいるが、PS3側クロスメディアバーにおける左端が「ユーザー」で、その右に「設定 フォト・・・」と続く構造となっていることを把握することで列選択が目視無しで行えます。
その中身についても、上記マニュアルサイトにおいて当該項目のリンクをクリックすることで、ある程度対応した情報を入手可能です。(たとえば「設定」の中身は、上から順に システムアップデート Edy Viewer ゲーム設定…)とならんでいるが、その様子をスクリーンリーダーを用いて確認できるなど)
さて、PS3のSENアカウントへの機器登録ですが、「PSN」の最上部にある「アカウント設定」より行うことができます。本当に残念ながら、ここは視力を必要とします。
機器認証の詳細はこちらのマニュアル項目も合わせてお読みいただくことで、より理解が深まりやすくなるはずです。不明点の解消に当たっては合わせてご参考ください。

また、その後の購入の準備として、あらかじめウォレット(ネットワーク上の現金貯蔵場所)への現金のチャージ、もしくは個人所有のクレジットカードの登録をしておくと決済の時にスムーズに処理をすすめることができます。
ウォレットへは、auかんたん決済・ドコモケータイ払いでの入金が可能です。こちらですとクレジットカードの登録が必要ないので、さらに手軽にご利用をいただけます。ぜひ、ご活用ください。
下記の購入手順に際しては、既にウォレットへ現金がチャージされている状態を想定し説明します。

さて、アカウントを作成し、機器登録、ウォレットへのチャージも終了したところでいよいよコンテンツの購入へ入ります。
まずはこちらのSENオンラインストアへアクセスし、サインインを行います。
しばしのロード画面の後、捜査へ入ります。
サインインが終わったら、次は実際の検索へ入ります。
ここでは視力を要さずに、まず問題無くプレイの可能なテキストADV「アカイイト」(PS2アーカイブス)」の購入を例に説明します。
まずは画面上部のテキストボックスへ「あかいいと」と入力して検索を実行します。
正しくは「アカイイト」とカタカナ表記なのですが、PS3版PSストアクライアントソフトのメジャーアップデートに合わせてSENオンラインストア上のコンテンツについて読み仮名での検索が可能となったので、今回はそちらを利用することにします。特に、iPhoneといったスマートデバイスではスクリーンリーダーによる文字入力も一苦労なので、こうしたシステム側でのフォローは大変嬉しい改良です。
すると検索結果の下部にプルダウンメニューが現れるので、そこから
アカイイト PS2アーカイブス PS3 \1,234
と読み上げられるリンクへ入ります。
ソフトウェアの個別カタログページが表示されるので、画面左中央の「カートへ入れる」のリンクを実行し、同リンクが「カートに追加済み」と変化したら其方のリンクも実行します。
するとショッピングカート画面に遷移するので、画面右上の「購入手続きに進む」のリンクを実行(場合によりここでサインインを求められるので、その場合はIDとパスワードを入力)。
購入の最終確認画面が表示されるので、「購入する」のリンクを実行します。
しばらく待つと購入完了画面が表示されるので、その中腹にある「PS3にダウンロード」というリンクを実行することで「ダウンロード隊キリスト」へ予約され、次回PS3を起動したときにダウンロードが自動で開始されます。
(PS3側でSENアカウントの自動サインインを設定のうえ、設定>本体設定>自動アップデート にある「他の機器で購入したコンテンツをダウンロード」を「入」に設定することでPS3の起動と同時にダウンロードがはじまるので便利です。なお、この機能を利用するにはPS3のシステムソフトウェアを最新に更新する必要があります。)
これらの操作は、Windows8、同8.1のユーザー補助機能「Narrator」とInternetExplorerとの組み合わせ、あるいはiOS7に標準搭載されているスクリーンリーダー「VoiceOver」と標準ブラウザのsafariを用いることで全て利用可能です。
旧来のPSP用ストアのクライアントソフトである「Media Go」はこれらスクリーンリーダー(画面音声化技術)では利用不能であったものなので、こうして汎用ブラウザでの利用が可能となったことで画面を見ずに利用できるようになった同ストアを、より多くの人々へ利用をいただけるように結果としてなった、これは本当にすばらしいことと思います。

実際に遊べるゲームとしての「アカイイト」

終わりに、今回題材としたアカイイト(PS2アーカイブス)について少しご案内いたします。
2013年10月16日に配信開始された本作は、ゲームシステムとしては至って標準的な和風伝奇物のアドベンチャーですが、本編中のキャラクター音声は主人公込みでフルボイスなうえ特筆すべき大変充実したシステムボイスが搭載されており、セーブ・ロードダイアログは勿論のこと、ゲーム中三角を押して表示されるメニューの全項目、オプション画面の各項目に至るまで、徹底した音声読み上げによるガイダンスが、しかも作中の登場人物により行われるよう作られています。
この「行った動作の結果フォーカスされた項目を読み上げる」という挙動はWindowsPCやiOSに搭載されている画面音声化技術とほぼ同様であり、大変視力の代わりとなるものです。オートモード速度、メッセージ表示速度の変更箇所では左右端へと突き当たる動作により現在自分が選んでいる項目を音でも確認できる点が嬉しい。また、震動On/Off切り替えもコントローラーのバイブレーションによりおしえてくれると大変親切な構造となっています。
このシステムボイスはただ選んだ項目をのべつに読み上げるに止まらず、例えば本作主人公である桂ちゃんの案内では、やや天然の入った説明も含まれながらも実に彼女らしいおっとりとした癒やし系のナレーションとなり、一方本作キーパーソンのひとりであるオハシラサマことユメイさんの音声ではその性質に合わせて大変彼女らしい粛々とした案内が行われ、この各種システムボイスがただのUIを超えたゲーム内世界構築に寄与しているところも魅力的な箇所です。作品のより詳しい内容はこちら。

さて、キャラクタ性を生かしたギミックとして構築された本作のUIが視力障害の保障となったことと、SENオンラインストアが汎用ブラウザでの利用を可能とした結果として視覚障害という状況を解決する結果となった両者の進化に、テレビゲームという娯楽文化自体に内在する根本的魅力が見いだされます。
つまり、それは「わかりやすさの追求」です。
1983年、たった5ボタンでゲームを実現させたファミコンの昔から、子供も訴求対象として含めたテレビゲームはこと「あそびやすさ」を進化させてきました。元来趣味娯楽の品であるゲームはパソコン用のアプリケーションソフトのように「学習」を強いるものではなく、その事情があればこそ分かりやすいUIが連綿と築かれていった歴史があります。
実際、『BLAZBLUE(アークシステムワークス)』『英国探偵ミステリア(花梨エンターテイメント)』『ひみつ戦隊メタモルⅤDX(毎日コミニケーションズ)』『マブラヴオルタネイティブ トータルイクリプス(5pb)』など、視力障害の影響を全く、あるいはほぼ受けずに遊べるタイトルが少なからず存在しながら、そうした情報を得たとして、これまではその入手自体がどうしても敷居を伴うものでした。
ハードウェアの互換性、ロード時間の短縮、ディスク出し入れの必要性。こうした種類の便利はあらゆる層において発揮されるダウンロード版ソフトの利点ですが、視力障害という状況の解決という意味では店舗への移動の困難、パッケージの裏面などにある紹介文やスクリーンショットなどを目視し確認する困難をさえ解決するものともなるのです。

終わりに

このように自然と幅広い層への訴求を可能としたインターフェイスを備えたSENオンラインストアへ、ぜひ一度訪れていただけましたらと思います。例えば現在自身が所有するディスク版ソフトのダウンロード版を購入すれば、ディスクレスかつロード時間の短縮されたバージョンを楽しむことができ、その意味のみにおいても本サービスを利用する意義は大変大きいと考えられます。
きっと、自身の興味に合致するタイトルが見つかるはずです。この文書がその一助として少しなりとお役立てをいただけたなら幸いです。

平成25年12月31日 A.K
平成26年7月14日 追記

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