Another Century's Episode R

ハード:PS3
メディア:BD-ROM
販売:バンダイナムコゲームス
開発:フロムソフトウェア
備考:パートボイス・難易度高

概要

PS2の3部作で一度完結したシリーズまさかの復活です。
本シリーズは様々なロボットアニメ作品がクロスオーバーして共闘する3Dアクション。
PS3にプラットフォームを移して1作目、今回はどのようなゲームになったでしょう?
結論から言うと、シリーズ4作目というよりPS3での1作目と考える方がいろいろよさげ、そんな雰囲気でございます。

まずアクション部分、ここはACE2や3の打ちまくり切りまくり爽快感は神様ですな仕様から一変、
よく言えばリアル、悪く言えばもっさりした代物になりました。
格闘も射撃も構えモーション(なめらか)がどの機体にも搭載され、ボタン即アクションとなるケースはオリジナルのART-1やフリーダムガンダムのBRなど、ごくごく1部。
中でも格闘は特にハイリスクで、アクション後の硬直で姿勢制御を行うというリアルっぷり、射撃につなげる、ステップで動作キャンセルするなどのアクションを経なければコマンド無し近接直後はかなり無防備な状況となります。
爽快感より挙動の緻密さが追求された(あるいは結果そうなった)のは初代以来で、ある意味原点回帰なのかもわかりません。
しかしアクションシーン全体の難易度は、初代のそれをある意味かなり超越している部分があり、次はそこを見ていきましょう。
1.コンボコマンドの出現
パイロットのステータスを上昇させると、格闘アクションのバリエーションが増加します。
・・・・・・増加するのですが、その実態は使えるコマンドの増量。
ここでは格闘機である紅蓮可翔式を例に説明します。
( D とはディレイ、少し間を開けるの意味)
 
三角・三角・三角・D三角 呂号乙型特斬刀
下上三角・上三角・上三角 斬り抜け
下上三角・上下D三角・下上三角 輻射波動
 
・・・・・・まぁ、格闘ゲームのそれよりは簡単ではあると思います。
思うのですが、基本集団戦が軸となる本作にあって、果たしてコマンドの概念が必要だったのかは疑問の残るところです。

難易度

さっきのコンボコマンドについて、これがもしハードモードやエキストラミッションでのスコアアタックに直結するなどのテクニカルな要素として実現されていたのなら、新たな試みとしてとても面白いギミックだったと思います。
しかし、本作はそういったアプローチをなかなかしにくい構造になっています。
上記の操作の難解さに加えて、武器の切り替えはL1ボタンによる武器パネルのシフト&ボタン入力で行う仕様へと変化しました。
ここまで聞くと、あぁ2や3でもあったなぁと思えるのですが話はここで新たな展開を見せます。
それらの武装を用いるには、テンションゲージなるものを必ず消費せねばならないのです。テンションゲージは通常射撃や格闘で貯まる仕様なので、
1.通常攻撃でテンションゲージを貯める
2.ストックされたらL1でウエポンパネルを切り替えて
3.敵にちゃんと命中するように気をつけながら発射
という一連の工程が求められるのです。
このテンションゲージはサブウエポンを使えば使うだけ減少しますから、使いどころを十分考えねばなりません。
このため、ACE2や3で残弾に気をつけつつも好きなタイミングでミサイルを乱舞させて板野サーカスごっこをできていたマクロスシリーズの機体はテンションが蓄積せねばマルチロックミサイルすら撃てないというありさまで、何とも言えない不自由さがまとわりつくことになりました。
全機体共通で通常射撃はお世辞にも強いとは言えないスペックなので必然的にテンション管理とサブウエポンの使いこなしが求められ、そのサブウエポン1つ1つに発射までの予備動作がついてくると言う有様は、慣れるまでに結構な根気を要します。
その通常射撃についても、タイミング射撃と言って一定のリズムで四角ボタンを押さないと連続発射ができない(しかもタイミングはノーヒント)であるタイプの機体があり、
合体攻撃の代わりに実装されたサポートスキル(カットイン入りで、敵単体にダメージを与えたり味方のHPを回復するなどの特殊効果が発動するもの)を使うとその機体のHPが減っていくという仕様のためこれまた使いどころが悩ましいものとなっています。
他にも、エリアオーバー(戦闘エリアの外に出てしまうこと)をすれば、前作までは180度ターンして復帰できる仕組みになっていました。が、今回は復帰どころかそのまま移動が継続され戻るのに手間取っていると謎のダメージが蓄積されゲームオーバーになるという仕様に、しかも東西南北だけでなく上下にもエリアオーバーの概念があるのですからなお恐ろしいことになっています。
これが原因でリトライすると、なんともいえないやるせなさみたいなものがこみ上げてきます。

演出

現在映画をやっている関係&大人の事情いろいろがあって、マクロスFの歌入りシーンのムービーは一切スキップ負荷になっています。
しかしこれは、まだライセンスがらみのいろいろと容易に推察が出来る不便なので問題ないのですが、前作から次の面で大きく後退しました。
まず、インターミッションは一切ボイス無しになりました。
ブリーフィングや出撃前の会話は勿論システムメッセージまでボイス入りだった3を経験していれば、あるいは本作がキャラゲーの側面を大きく持っていることを考えればこれは大きな改悪と言っても、おそらく問題ないでしょう。
初代ですらビデオレターによるメッセージが含まれていたのですから、それを考えると、私的にはこれは本作において最も残念な点に思えます。
ムービーシーンについても、相対的にではあるのですがロボの棒立ちが多くなりました。
しかしながら、その場面でいろいろと会話が行われてシナリオが進む(ここはフルボイス)ので、たとえばただ会話をするだけの部分であればムービーではなくゲーム中のバックグラウンド会話にして、2や3のように動きのある部分だけをムービーとしてまとめれば、よりゲームとして楽しいものになったのではないかなと思います。

総評

まず、初めて本シリーズに触れるという場合は、筆者といたしましては心の底から、PS2で出ている2、もしくは3からの開始をオススメします。
初代もそうなのですが、今回は慣れるべき事が本当に多いですから、どれだけゲームオーバーになっても自身のスキル向上と戦略の工夫、情報の収集で耐え抜き戦い抜く根性があちこちで求められます。
なお、個人的には本作をとても懐かしい心持ち、まるで初代ACEを遊んだときのような感覚で遊べました。
インターミッションがしゃべらないのも最初はそうだったのですからそういうものと思えば別に問題ないですし、
アクションのいろいろも、あぁ今回はそういうルールなのだとわかってしまえばそれほどひどいものではありませんでした。
無論、初回はイージーでのプレイが全力で推奨されるわけなのですが、最初の数話は個々作品の原作シーンから始まるので、登場作品にお気に入りがあればプレイ当初からかなりのハイテンション状態で遊ぶことが出来ると思います(マクロスFを選べばマクロスF、アクエリオンを選べばアクエリオンの原作再現ステージからシナリオが始まるという仕組み)。
これは、ジミにすごいことなように思います。
筆者はコードギアスR2目当てで本作を購入したのですが、原作で言うところの「太平洋 奇襲 作戦」~「神虎 輝く 刻」が、それぞれ第1、第2ミッションになりました。
そしてその原作の雰囲気再現ぶりには、心の底から驚かされました。
ステージ1では紅蓮フロートユニット装着イベントを経て百万人の日本脱出までがフルボイスフルムービーで、しかも結構な眺めの尺を裂いて描かれ、
ステージ2では亡命先の中華連邦で大宦官の告発と星刻が仲間になるまでの過程(天子様もちゃんとボイス付きで登場)を遠慮無いデモの量でもって存分すぎるほど堪能しながらプレイできました(ブルーレイってすごいですね)。
これを初めて目の当たりにしたとき、文字通りやられたと思いました。
誰が得するこの作り込み?あ、そっか俺たち「作った人遊んだ人」かと思うにつけ、やる毎に感動させられたのは斑鳩、バテンカイトス以来久しぶりのことです。
この、好きな作品からプレイを開始できるというシステムは序盤のシナリオこそ全く変わるには違いないにせよ、人によっては一週した時点でやめる場合も存分にあり得て、全く興味ない作品が含まれている場合、それを本作の購入者全員がまんべんなく遊ぶとはなかなか考えにくくあります。
そんなスルーされるリスク山盛りのシーンを、ブルーレイを媒体に用いた結果か尺をかなり自由に使ってフロムパワー全力で徹底的に妥協無く演出されていた、殊キャラゲとして考えれば十二分にすごい、ある種1つの到達点と言ってもいい状況じゃなかろうかと個人的には思います。
ゲームとしては上でさんざん書いたとおりの状態で、ほんとに人を選ぶものになっています。しかし、キャラゲという側面から本作を見ると、決して適当に作られた物ではない、無駄にモーションや演出を作り込んだわけではないことがテレビ越しに嫌でも伝わってくる作り込まれっぷりが発揮されています。
たぶん今回のアンケートでかなりいろいろな意見がフロムやプロジェクトSRに届いたはずなので、次回はきっとACE2みたいな快適爽快路線に立ち至ることでしょう。
本作のRはRevarceの意味も含むとか、1度ゲームシステムを組み直して新たな遊びのフィールドを構築しようとした、それそのものはとてもすばらしいことだと思います。
なので、ユーザから喜ばれようが残念に思われようが、何はなくともぜひ今後ともずっと続けてリリースされていってほしい、これで終わりになってほしくない、そう思います。
私的にはシリーズのファンになってしまったので今後ずっとついていく心持ちですが、今回の難易度で次回作をスルーする人もまぁ出るのだろうと思います。
ですが、こういうシリーズそのもののファンを増やせればスパロボに並び立つブランドとしてとても楽しいお祭りに十二分になれると思われ、今後もずっと応援していきたいと、これを遊んでいてそんな風に思いました。
癖こそ強いですが、好きな作品が出ていれば、そして高難易度ゲームに抵抗がなければぜひあそんでみてください。
ACER 登場作品一覧

攻略

1.千巻を撃破するミッション、特に中盤ミッションの「騎士たちの選択」は、特に目を用いない場合における本作の難所の一つです。
戦艦は、太鼓をたたくようなエンジン音を響かせつつ移動しています。それを了解して、まずその音が正面に来るように邦楽とロックを調整。
次に極力接近してからテンション攻撃で広範囲な物(ART1のHGリボルバーやフリーダムガンダムのドラグーンなど)と格闘を混ぜて攻撃すると結構あっさりと沈んでくれます。

2.中盤、オータム1と初めて戦う第13話。
通信からはコアの露出が必要そうなことを言われますが、実はサポートスキルだけで撃墜可能です(イージーで確認)。
まずプレイヤー機はオータム4、遊軍機はアルトやスザク、リュウセイといった、サポートスキルの内容が「1体集中攻撃」であるものを出撃させます。
前半パートをなるべく無傷でやり過ごし、オータム1が出てきたら敵の中央をロック後、遊軍機のサポートスキルを連発。
HPがなくなって2機とも打てなくなったらオータム4のサポートスキル(HP回復)を使って他2人のHPを回復、再びサポートスキルレンゲ機。
パイロット能力強化でサポートスキルの威力をMAXまで高めておけば、この方法で確実に撃破可能です。

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