R.U.R.U.R ル・ル・ル・ル -petit prince-

ジャンル遠未来SF恋愛ADV
ブランドライト
メーカー(株)ヴューズ
ハードPSP/PS Vita
備考主人公込みフルボイス・ナレーションと一部台詞はフランス語
ダウンロード配信SENオンラインストア

ストーリー

これは、いまより未来のおはなしです。

黄色かったソルのお日さまは、どんどん赤く色あせていきますし、青いシリウスも黄ばみがすすんでいくいっぽうです。
もともと赤かったペテルギウスなんて、今ではあとかたもありません。

空いっぱいにあった星たちは、すこしずつですが灯を消しはじめ、宇宙のけしきはちょっとさびしいものになっていました。

これはそんな、ずうっとずうっと未来のおはなしなのです。

そんな、さびしくなった星ぞらを、1せきのこわれた宇宙船がとんでいました。

船の名まえは、サン=テグジュペリ号。
こわれてからずいぶんたっていたので、もう《人間》(マンカインド)はひとりもいません。

今では、かわりに高等ロボット(チャペック)たちが、作業機械(セーバーハーゲン)といっしょにくらしていました。

そんなある日のこと、チャペックたちは宇宙船の奥で、たいへんなものを見つけてしまったのです。

それは──、

きっと、宇宙でたったひとつ、最後にのこった《人間》(マンカインド)入りの冬眠ポッド(カプセル)でした。

名前は、イチヒコ。
男の子です。

SCE ソフトウェアカタログより引用

はじめに

まずはじめに、本作の主人公であるイチヒコくんは、上記のプロローグにもあるとおりおとこのこです。
より詳しくは、まだ変声期を迎える前、大凡11~12歳でしょうか。更には勇者でもなく冒険家でもなく、いたって不通の男の子ですから年相応の若さ、思慮、幼さ、欲、純粋さ、不安定さ、熱さ、純朴さを持っております。そんな彼を主人公として物語がすすんでいきます。
なぜこのようなことを書いたかと申しますと、Web上で本作の感想文を眺めて回っておりましたらその「男の子が主人公」という事実自体に拒否感を感じられていた方が一定見受けられましたもので、ここでご紹介するに当たり「素朴だけれどちょっと我が儘な男の子」が苦手な方に申し訳ないこととなってはいけないなと思ってのことです。購入前の、参考情報といただけたらうれしいです。

さて、それでは本作の魅力について順繰りに語っていくことといたしましょう。

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まずは本作が『テレビゲーム』として、大変魅力的であるということをご紹介いたします。

タイトル画面からプロローグを選択すると物語がスタートいたします。本作も、他の物語系統作品のように何度も遊んで様々な可能性を試行し楽しむ構造となっているのですが、まずご注目いただきたいのがここ、1週目は選択肢が存在しない構造となっているのです。詳しい操作方法は下記視覚補助情報をご参考下さい)
まずはエンディングまで読み進め、その後に再度最初からプレイをはじめると2週目となり、中途に選択肢が生じまして自身の意志を反映し物語を動かせるようになる構造となっているのです。
これが演出として面白いのは勿論、チュートリアルとして考えると更に面白いのです。まず初回プレイでゲームシステムの基本、物語の読み進め方やデータのセーブ・ロードといった基本を理解、2週目から選択肢を選べるようになることでプレイヤーはその要素のみを追って理解することとなり、結果自然に「ノベルタイプのアドベンチャーゲーム」というジャンルのプレイへ馴染むことができる工夫とも考えられると思われるのです。そう思うと大変胸中へと込み上げるものがあります。
そして更に探究を広げ、例えば全ての分岐を埋めて全てのエンディングを埋める、ということを試したらどうなるか。これにももちろんしっかりしたリターンがあります。分岐で生じる平行世界の色々を楽しんでいたらやがてやってくるご褒美、きっと更に心地の良いクリア時の達成感、心地の良い読後感を得ていただけることでしょう。これを切っ掛けにこのジャンルを遊ぶ人が増えていける、システムからそう作られている本作は、思い返せば凄いものだったのだなとあらためて回顧されるのです。

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つづいて物語。上記の文体からも読み取れますように童話+SFでございます。
この描写万般に共通して含まれている要素で面白いのは、主人公の知識と周囲の状況が全く相関しないというリアリティが徹底されていることであります。どれだけ文書が平易であろうが、どれだけ童話な文体であろうが、その内容について全力の熟考が叶う構成となっているのはとても素晴らしいことです。
それを象徴するのが1週目からお楽しみいただけるコバトムギ先生のバサード式ラムジェットエンジンの実装に関する講義でして、こちらはぜひ皆様に一聴いただきたいかぎりです。
同じライト様のブランドである『Dies irae』とは全く違ったアプローチにて、しかし全く同じように「ユーザへ一切遠慮せず書かれたテキスト」というところが素晴らしいのです。
その意味で、特にSF系統のエンターテイメントがお好きな方、ぜひお試しをいただけましたらと思います。

便利なワンタッチ プルトップ

本作を本当の最後まで読了することで、プロローグより「1週目、2週目、?????????」と、好きなお話を選んでお読みいただけるようになります。PC版からの進化点でもあるこの要素により、本作は「童話の絵本」として完成する次第、リプレイの快適さが格段に向上いたします。
あえてここでリプレイ時の種々を申し上げたのは本作の出典が実に面白いからであります。
ぜひともクリアをいただいたなら、本作の題名の出展ともなりテーマも大変近似した1920年発表の戯曲R.U.R.(Rossum's Universal Robots)――ロッサム世界ロボット製作所 (チャペック カレル)や、本作の舞台となる宇宙船の名前となった作家の有名作にてまさに「異邦の少年」を描いたLE PETIT PRINCE。本作の章題にも折々引用されるマザーグース詩集をお読みいただくことで、あるいはヒナギクでデイジーな、そして司法/行政でもある周辺を考察するに楽しめる2001年宇宙の旅の映画をご覧いただくと、その楽しみが更に増幅されていきます。
『ロボット』を踏まえ、『知性』を考え、『子供』を思い。それに色々な時間経験をプラス、今から5年10年15年のあとでもう一度遊んだ時、本作はきっと新しい命題を新しい角度から語りかけてくれることでしょう。ゼノギアス、MOTHER、ガンパレードマーチ、天外魔境II、bittersweetfools。丁度これらの作品が長い年月を経て、新しく遊ぶとまた違った素晴らしさ楽しさを当時の思い出と共に与えてくれるように。
終わった後も終わらない作品をまたひとつ、見つけることができました。

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パソコンからの移植ですから、・・・だからというわけでもありませんが、「どすけべ」な場面がそれなりにございます(CERO審査はC判定(15歳以上推奨 付与されたアイコンはセクシャル)でした)。正直に申し上げるなら、その意味でイチヒコ君世代のリアル子供に遊んでもらえ…にくいのがかなり本気で残念です。(より申し上げるなら、年長者の立場からはすすめにくい場合もありそうという意味で)。ここは本作を遊んでいて最も残念な部分でした。内容が本当に良いからこそそう感じます。
決して、子供の時分からこうした物語へ触れることが悪いことではないと個人的には思います。興味も理解も知力も探究心も、子供ひとりひとり異なるのですからその「個人」を見て考慮するのが本来と考えます。

一方これは、本作の「描写」を真正面から解釈した場合の考え方であります。
より読み込んでいくと、そもそも「常識」の存するところはどこか、そういった考察を抱くよう、本作は構造されています。
例えば、木下和三郎氏のお書きになられた「盲人歩行論」という著作の中に、次のような一説がございます。

> 「近来交通事故防止の意味から、盲人用の杖ことにその色を一定し、社会人をしてその使用者が盲人なることを周知させ、交通安全の一助としようとしていることである。この杖を私は『徴盲杖(現代の白杖)』と云っているが、盲人の人格を尊重し、その私生活を自由にすると云う点から云えばこれに反対するもので、盲人が自分で使う杖は自らの意志選択によって使わしめらるべきものと思惟するが、この社会は盲人のみの社会ではなく・・・盲人が一人でこの世の中を歩くにはかなり不便も危険もある。始終付き添いを連れて歩くというわけにもゆきかねるならば、盲人は一面、その安全のために自己が盲人なることをはっきり表徴して、他人の注意を喚起する事も必要であろう。」

この「この社会は盲人のみの社会ではなく・・・盲人が一人でこの世の中を歩くにはかなり不便も危険もある。」に着目をいただき、それが生じている理由は何故とするなら、その視力障害という状況が「少数派」であるからです。
あり得ない過程で恐縮ながら、もしこの比率が逆転していたらどうでしょう。つまり、視覚障害という状況が一般的であり、そうでない状況が少数派であるような人口分布であったなら。社会インフラも教育の方法も行政の手続きも、確実に現在とは異なった方法での合理化と最適化が進む歴史となったことでしょう。
上記では人口の多少を論点としましたが、その「多少」の究極は「ひとり」であります。R.U.R.U.Rの劇中でも、議決権行使の判定にてひとりであれば100%であることが示されるとおり、それが物事の決定だけでなくその社会全体を構成する要素であったなら、世の中はきっと「そのように」なっていくことでしょう。
本作にあるどすけべ描写もいわばこの結果生じたものであり、そこへと思い至ればあれがいやらしいがどうだとかポップコーンがああだとか、その描かれ方自体がまた違ってみえてくるようになっている、そこが面白く、考えさせられるところです。
ひとっこひとりの社会と人たらんと努めるチャペックたちの作る社会。現在の我々と比較して、継承された常識とそうでなかった部分、比べながら遊ぶのも楽しいかもわかりません。
ともかくも、色々と書きましたが本当おもしろい作品だったのです。今でしたらスクリーンリーダーさえあればSENオンラインストアも視力障害をほぼ関係せず利用できますので、それと合わせてぜひ一度プレイいただけたらうれしいです。


視覚補助情報

タイトル画面の構造

上下循環、効果音あり

ゲーム中の基本操作

 1.オートプレイのOn/Offはスタートボタン
 2.2週目以後出現する選択肢の移動は効果音あり、表示直後はどれも選ばれていない状態
 3.メニューは三角ボタン 縦並び上下移動で上から順に
   セーブ ロード ログ コンフィグ 終了
   循環構造、カーソル初期位置が「セーブ」で、メニューを開き直す度にカーソル位置が初期化される。

 4.セーブ・ロード画面はPSP汎用UIを使用。
 セーブはファイルを選び 丸 左 丸 セーブ終了後罰2回。ロードもほぼ同様、最後の罰は一回。
 5.スキップは四角ボタン 押している間行われる。(既読スキップ判定Onの場合、未読部分になったら自動停止する)
 6.コンフィグは次の構造。全てトラックバーのように値の上下を選び、右が大、左が小。
  上下で項目移動 左右で値変更 値変更時に音が鳴らないので注意)
  項目は上から順に

   ウインドウ透過度(右ほど大きい)
   オートモード速度(右ほど早い)
  メッセージ表示速度(左ほど短い)
  メッセージスキップ:既読 総て(左が既読、端で突き当たり、カーソル移動SEあり)
  インストールデータの利用 On Off(左がOn タイトル画面でキャッシュ用データをインストールしておくとOnが選べるようになる。ここも左右で突き当たる。)
  システムサウンド音量(右ほど大きい 以下同様)
  BGM音量
  SE音量
  ボイス音量
  イチヒコボイス音量

  そして罰ボタンで設定を終了し反映(上下は循環)
  また、LRボタンで値を大きく上下できます(5段階)なのでLRで大きく設定、細かい値を左右キーで調整という方法がおすすめです。

実際の所殆どこっちと一緒なのでした。なのであちらをプレイ済みの方はこちらもそのままお楽しみいただけますし、その逆でも楽しんでいただけることでしょう。

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