アルトネリコ~世界の終わりで詩い続ける少女~
ジャンル:RPG
CEROレーティング:12歳以上対象
ハード:PS2
公式サイト:
バンプレスト公式(フラッシュコンテンツ)
アルポータル(アルトネリコ総合情報ファンサイト(htmlコンテンツ)
ゲームの多様性というのは家庭用ゲーム機が登場しRPGの台頭して以後、常々語られ続けた話題でした。
曰く、寝転がりながら遊べるゲームのゲームであるものか。近年ブームになった脳トレ周辺で折々生じた「そもそもゲームとは」な議論も、思えばそうした着想の延長にある話題なのかも分かりません。
お手軽作品より以前によく語られたのがゲームのグラフィック傾倒が行き過ぎることへの懸念、有名なのはNINTENDO64がロード時間確保のため当時世代で唯一ロムカートリッジを選んだというエピソードがそれに当たるでしょうか。それこそきれいな映像を追い求める思想はファミコン時代からとっくに存在した概念であり、確かがんばれゴエモンでしたか、カセットに大容量2MBとプリントして居丈高だった頃と同じ感心と進歩を、業界上げてPS2時代まで続けてしまった付けを市場の縮小という格好で支払っている、ひねて考えると現状をそうとも捉えられるのですから切ない噺なのです。
確かにグラフィックへの傾注は受け手送り手共に楽なのです。雑誌に載るのはキャプチャ写真、テレビ番組では動画ですが他のものより目をひかないといけないので自然とどんどん派手なエフェクトが使われていく、CMも同じ事です。それに引き替え、遊んで面白いという事は主観が入る上にシャッター押すよりも手間ですから、結果として絵をキレイにした方が売れるし宣伝にもなるしユーザは期待できる。
もちろん、映像がキレイになることは悪いことではありません。ただ小さい世界でそうやっている分には一向に問題無かったのですが、開発費の高騰に加えてその映像インパクト主義に飽きたユーザがゲームをやらなくなったことで、本当に一時期この業界はあぶない状況になりました。
それを救ったのが脳トレ群。こうしてゲームの幅が広がりこっちに来た人の何割かでも、既存のいわゆるゲームソフトのおもしろさに気づいてくれたなら、各メーカーもソフトを造りやすくなる、するとおもしろい意欲的作品が出てきてユーザーは楽しい思いが出来るといった良いスパイラルに突入できる。
なんだか良い状況になってまいりました。そんな中紹介いたしますこのアルトネリコも、映像以外の所に力を入れたおもしろいRPGです。
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アルトネリコは、{詩(うた)}に力を入れまくったRPG+ADVです。
ADVってなによRPGじゃないのこのソフトという感じですが、それについては後述です。
まずは基本仕様から説明していきましょう。
とはいえその実何のことはなく、一見スタンダードなRPGなので安心して触れてください。
ダンジョン歩いて戦って、イベント勧めて次の街へ。
特徴として、町中の建物移動やフィールド上での場所移動が選択式なので、道に迷うのはダンジョンの中だけという新設移動設計でございます。
さて、先ほどの説明で「一見」という枕詞をつけた理由について、順に語っていくこととしましょう。
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特徴1.:総じて音楽がすごい
何も大迫力のメロディがふんだんと言うわけではありません。
このゲーム、最近のポリゴン時代にはめずらしく劇中の8割がドット絵で表現されております。
その結果メモリが余ってしまったのか、ほぼ生音を取り込んだ曲ばかりが背景で流れます。ボス戦や一部イベントでは歌入りになりまして、しかもフルコーラスのものまで中に含まれているのだから半端無い、ここには並々ならぬ開発者のこだわりが見て取れます。
実はこのこだわりにはゲーム本編との切っても切れない関連があります。
この世界は詩によってその近郊が保たれており、詩は我々の概念にプラスして魔法としても用いられるほどの世の中であります。その確固たる位置を示すため、演出としてのBGMに力を入れる、すばらしい工夫だと思います。
上記のように、特に歌詞入りのものは[ここぞっ!!」という決定的タイミングで挿入されますので、プレイを予定されている方は楽しみにしておいてください。
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特徴2.連携が気持ちよいバトル
序盤はターン性の通常戦闘です。が、噺が進んでレーバテイルというのが仲間になったとたん、この戦闘システムはとてもおおきな変貌を、むしろ進化をとげることになります。
主人公は騎士なので強いのですが、レーバテイルというのはものすごく弱いのです。ですので、主人公はレーバテイルを守りながら戦いを行うことになるのです。
ですが、レーバテイルは詩魔法を使うことができます。いわゆるRPGの魔法で、攻撃回復状態以上と一通りそろっているのですが、この威力が次々と状況に応じて変化していきます。
このゲームのバトルシステムの肝はここにこそあります。
詩魔法はためればためるほど威力が上がっていきます。ですが、レーバテイルに一度でも攻撃が当たればためていた魔法は0に逆戻りですから、そうならないように戦略をたてねばなりません。
逆に主人公とレーバテイルのシンクロが上手くいっておれば、両者の攻撃力はどんどん上昇していきます。
具体的には、主人公達人間キャラは、通常攻撃の威力とヒット数が上がり、上位の必殺技を打てるようになり、レーバテイルは1発の詩魔法の威力とためるはやさがどんどん上がっていくのです。
つまり、連携です。主人公達前衛メンバーが敵に攻撃を行いつつレーバテイルを守り、レーバテイルはそのあいだに詩魔法の威力をためる。
すばらしいことにこのゲームでは、レーバテイルに限り、敵の攻撃中であっても任意に戦闘に割り込ませることが出来るのです。つまり、主人公達が通常攻撃をたたきこんだ後につながるように貯めきった詩魔法を一気に放つなどというすごく萌えるコンボを作り上げたり、敵の反撃に対抗すべく放った詩魔法で形成が逆転するなどのドラマが生まれたりなどもしていくのだからたまりません。
必殺技の探究とレーバテイルの成長は、この練り込まれまくったバトルシステムに、どんどんと厚みと深みを与えてくれますので、単調になっても飽きることはあまり無いのではないでしょうか。
ただ隠せない点として敵が総じて弱いというのがあり、この萌えるシステムの中全力で本気で戦えるチャンスがそれほど多くないというのがもったいないところ。でもでもシナリオ集版でとあるアンドロイドなお方とバトれるようになり、その方は戦うごとに強くなっていく&いくらでもたたかえるというひとりロマサガ状態なのでバトルマニアな皆さんもほっと一安心といったところでしょうか。
どうしても2種類の味方を動かす都合上1回の戦闘が長いものになっているのですが、そこはさすがガストさんといったところでよく考えられています。
おしなべてエンカウント率(ダンジョンを歩いていて敵に遭遇する確立)が低く設定されているのです(体感ですが、20秒から30秒に1回程度)。
さらに、そのエリア内の敵はある程度以上たおすと出てこなくなりますので、迷路にまよったり謎解きをしていても敵が出てきて興を削がれるような事態は、自発的に防ぐことすらも可能にしてくれているのです。
こんな感じでただ面白いだけではなくアフターケアも忘れないという、アルトネリコにおいてあるいみ最もゲームっぽい部分の完成度のすばらしさについての噺でございました。
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特徴3.ダイブ
枕にアドベンチャーがどうだとか書いたものの種明かしがこの項であります。
戦闘に勝利すると、経験値とお金、そしてダイブポイントというものがもらえます。
ダイブというのは先ほどお話ししたレーバテイルがそれぞれ持っている「心の世界」を歩き回るアドベンチャーパートの総称です。
主人公はその世界のなかをいろいろと探検して、いわゆる心の悩みを解決してゆくことになります。
その結果、レーバテイルは新しい詩を紡いで使える魔法が増えるといった案配となっているのです。
つまり現実世界でのいろいろなイベントやバトルで培った信頼を用いて心のしこりを取り除き、それが現実にフィードバックされるという仕組みが全く別のジャンルを入れて表現するという格好で、すごくスムーズに達成されているのです。
無論、アドベンチャーは好き嫌いの分かれるジャンルであろうと思います。そこもさすがガストでして、最小限のダイブさえやってしまえばあとは別に放置していても全く無問題という潔さ。
ダイブのイベントや世界もかなり作り込んであるのにそれをやるかどうかをプレイヤーの判断へ完全にゆだねるその姿勢、ほんとにかっこいいとおもいます。
ただこのダイブというやつ、戦闘が楽になる上に、心の中がテーマですから、そこで描かれる内容は嫉妬にコンプレックス、劣等感に近親憎悪、友情に恋愛に人間関係、わがままに物欲、自分自身との葛藤と各種欲求ETCという風にものすごいことになっていますので、そちらに興味があれば一件の価値があるかもしれないです。
結構、こうなんといいますか、ジーンとくる場面があるのです。いっそ、シーン回想でも付けていてほしかったくらいなもので、言ってしまえば寄り道ということもありそれぞれの噺はオムニバスでとてもコンパクトにまとまっていますので、気が向いたときにでもちょろちょろとやるのが良いのかもしれません。
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さて、アルトネリコというちょっと違うRPGの魅力と勘所を3つほど紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
ただ、これまでいろんなゲームが出てきて、その中で映像以外の所にリソースを裂いた作品は決して少なくありませんでした。
ですが、そうやってBGMに力を配分したという結果をゲーム性そのものに取り込んだ、これはなかなか類例の無いことではないでしょうか?
その結果として、ほんとこのゲームは損をしているのです。
ぱっと見たところはスーファミのRPG、イベントシーンはイベントシーンでキャラの立ち絵にCG、どっからどう見てもギャルゲです。
そんな見た目のインパクトに加えて副題に少女などとついているものですから、触れない人は絶対に触れないことになってしまっている、しかしその状況が心底もったいないと思えるクオリティの作品であることは、そのよく考えられたゲーム性と1つで3度おいしい構成からも明確です。
そのようなわけで、みなさんにおかれましては、下に書いたこともあわせて参照いただき、もしかなうのであればぜひ一度手に触れていただければと思います。
何にせよ、こんな個性的なRPGが出た、今日はそれだけ了解していただければ幸いです。
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それでは、またどこかで。
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<目を使わない場合、あらかじめ知っておくとよい情報>
1.イベントシーンはフルボイスではなくパートボイス(ボイス部分だけで物語の内容はぎりぎり把握出来る寮)2.ダンジョン移動時、壁や者にぶつかっても足音は止まらないが、出入り口や触れるべき物はほとんど画面端にあるので、進む方角を了解しておれば目を使わなくても遊べる。
3.町中の移動やメニュー画面などは、一定方向に矢印キーを押し続けていると端で突き当たる。これを用いて各項目の場所を覚えることが可能。
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