Phantom of Inferno

ジャンルハードボイルドヴィジュアルノベル
メーカープリンセスソフト(PS2版) DIGITURBO(XBOX360版) ニトロプラス(原作)
ハードPS2 XBOX360
公式サイトPS2版 XBOX360版

はじめに

エンターテイメントへ接するとき、傍観者、観客として接するのか、当事者、主人公の目線で接するのか。
得てしてゲームとは、後者のスタンスで触れることの多い媒体のように思われます。
自分で考えて自分で手を動かすが故なのですが、今回ご紹介申し上げますこちらのアドベンチャーゲームは、選択肢の蓄積によって物語が描かれる意味で特に、主人公とのシンクロが楽しいタイトルの一つです。
以下、物語の冒頭をご紹介いたしましょう。

物語

卒業旅行でアメリカへやってきた主人公は、意図せず暗殺の現場に遭遇する。そこで彼は目撃者として消されるはずだったのだが、とある意思の関与によりその組織に拉致されることになる。
監禁先で目覚めた主人公は、右も左もわからぬままいきなり軍用ナイフをわたされ摸擬戦を行えと指示される。相手は同年代とおぼしき少女・・・。「死にたくなければ本気で来なさい」のことばに、彼は困惑しながらもパニックに飲まれることなく、その「模擬戦」を切り抜ける。
止血をしてその場を去る少女と随伴の男一人女一人。やがて廃工場と思しいその建物内を探索する内、屋上にてその模擬戦の相手となった少女と再会する。
そこで語られた、主人公に内在する、全く想定のない、日本国において生きる限りまず開花しない、そしてしようもない「人を殺す才能」の存在を知らされる。突如このような状況になり、普通ならパニックへ陥り落命するところが、適切な状況判断で切り抜けたことがその根拠だというのだ。
この組織において「暗殺者」として生きることが彼の運命なのだという。
かれは憤った。いい加減にしてくれと思った。自分はそんなものではなく、まず人として全く扱われないと十重想定されるこの環境への理不尽に反駁した。
が、彼の反論ははたと止まる。それは己の尊厳を示すため、話題が自分自身に及んだときのことだ。
「自分にはちゃんと名前がある。自分の名前は」の続きが出てこない。
彼は記憶を消され、しかもアイデンティティーに関わる部分のみを消され、組織への従属を受け入れざるを得ない状況へと至らされていたのだ。
彼の眼前で新しく始まった全くこれまでと異なる日常。その果てに、彼の人生はどう流転するのか。

おわりに

PS2とXBOX360で発売されている本作、より厳密には、DVD-PG版の移植がPS2版、アニメ版のゲーム化がXBOX360版となります。
出自はさておいてどちらがおすすめかと問われたなら、明確に答えることができます。
PS2版をおすすめします。

まず本作のPS2版において、本当のフルボイスが実現されている事実、ここは欠かせません。
本当のとはどういうことか?
より具体的には、以下に声が入っています。
主人公、モノローグ(心の声)、そして地の文。
もう一度記します、地の文。地の文が全て読まれるタイトルは果たしていくつあるでしょう。
主人公のモノローグの延長でのフルボイス、これには前例があります。風のリグレット、涼宮ハルヒの約束、そして俺の妹P完全版のディスク1。
主人公にも声がある、これは類例が比較的一般的です。だからこそここをお伝えしたい、本当のフルボイスが実現されています。
XBOX360版は、PS2版に加えてアニメ版で追加されたシーンが遊べるようになっている、フェラーリF40関連シーンがムービーでなく、ムービーを一時停止しながら背景で流すことでADVとして遊べるようになっている、エンディングへの入り方がエンディング曲の冒頭がゲーム部分と重なって自然にスタッフロールへ流れるのでなく「ブチっ」と一度切れてからあらためて始まる、そして多くのモノローグと全ての地の文のボイスがない、こうした違いがあります。
ですから、次の流れでプレイをされるのはいかがでしょう。
まずPS2版を隅々まで楽しみます。
そしておもむろにXBOX360版をプレイ、こうすれば声のないシーンも脳内補完がばっちりです。
この出来事、地の文が全てボイスあり、この、あえて出来事と記しますが、これはぜひ体験をいただきたい。
ただ声が入って凄い、それだけでないからこそおすすめ申し上げます。
先ほどエンターテイメントとシンクロの話題を記しました。
本作のプレイは、いくつもの選択肢の連続により成立します。
それがまた、しっかりと「自分の考えを表明し、自分の考えで行動するもの」ばかりなのです。だからどのような結果、エンディングになっても腑に落ちる構造、それがフルボイスだからこそ凄いうえに感情移入の楽しみがあるのです。
ネタバレを避けるために詳細を省きますが、ただ最善手を取るばかりではまず到達できない3章の存在も本作の深みを増す要素として生きています。
「やらかす」ことで初めて現れる続きのシナリオ。その「やらかした」ことが同シナリオのテーマとなるのだから、ここもまた構造としての面白さに満ちていると言えるのです。
様々な意味でおすすめな本作、決して肝胆ではありません。原理を解明するまでには何度も何度も何度もバッドエンドへ至るはずです。
その試行錯誤の中、初めて2章、そして3章へと至れたときのあの喜び、これをどう表現したものでしょう。
この達成感もぜひ楽しんでいただきたい。故に、ぜひ攻略サイトはいよいよの時の参考としていただき、試行錯誤しながら楽しんでみてください。きっとそのプレイはかけがえのない、得がたい思い出になります。
加えて申し上げるなら、全ての選択肢は最初から選べる、ここもお伝えをいたしておきたいポイントです。
同社のSTEINS;GATEと同様、何かのエンディングを見たら新しいシナリオが出てくる、そうしたことは一切ありません。だからこそ、本作の完成度を感じずにはおれないのです。
あくまでも遊ぶのはプレイヤー、故にこそ全てが最初からオープンになっている構造。その痛快さがため、生じた高難度もとても納得のいくデザインによりくみ上げられていると感じられる。この引き算の美学をまた楽しんでいただけたら何よりと思うのです。
そんなこんな、いろいろと記しましたが、この紹介文が皆様の余暇を彩り豊かな時間とされる切っ掛けとなれましたら幸いです。
  それでは、今日はこのあたりにて。

視覚補助情報

PS2版基本操作

丸(手動文書送り+選択肢の決定)
罰(スキップ、もしくはスキップ準備)
*スキップ準備の場合、その後で四角ボタンを押しっぱなしにすればスキップされます。
四角(自動文字送り))

メニュー

本作PS2版のメニュー、ならびにメニュー移動にはカーソル移動音がございません。プレイの折には1つずつ押すことを心がけながら操作してください。
セーブ、ロード画面の決定音についてはサウンドがあります。これを活用することでセーブ、ロードを視力を用いず可能といただけます。

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