I/O

ハードPS2 / WindowsPC
メディアDVD
備考主人公含めフルボイス
震動対応

はじめに

まず最初にこちらをご一読ください。
いかがでしたでしょう。これは本作PS2版のオプション項目をまとめた公式サイトの文書です。

さて、Web開発では、OSや端末、そしてブラウザ(もっというとHTMLレンダリングエンジン)の違いから来る表示のずれを直す作業はとても大切です。
何故それをするのか。その意味は、全てのブラウザで同じ表示を実現することに限定されません。
例えばSVG画像によるベクタスキャン、即ち演算処理による画像表現を組み込むことで、画面拡大を難度実行してもぼやけない、ドットがむき出しにならない表示を実現するということはとても大切です(最近だとiPhoneのMAPに使われている技術、Wikipediaのロゴにも用いられている)。
これも、拡大画面での破綻無い表示やDPIの異なる端末での安定した描画を実現する工夫として実行できる一種の互換性確保の手段です。

一方、テキストベース(画像を表示しない状況のことで、音声ブラウザ利用もこのケースと同様)にあって、画像に代替えテキストが配されているかどうか、あるいは不要の画像にいらぬ代替えテキストが含まれたことで冗長な出力になっていないか。これも突き詰めるべき価値が大いにある題材です。
これらを行う故は、新鋭技術をいたずらに取り入れることでも無ければ規約の遵守によるSEO対策でもありません。人にもよるとは思うのですが、筆者はそれを「あらゆるニーズの便利を実現すべく工夫を凝らすこと」ではないかと考えています。
例えば先の画像代替テキストについての話題。実は画像を多用するWebサイトにあってここを丁寧に仕上げるというのは各種サーチエンジンでのヒット率上昇に繋がります。画像を示す文字列(キーワード)があることでそのページの話題とするところがより鮮明になり、検索結果にその事実がより厳密に反映されていく。そしてその結果として、スクリーンリーダー(画面情報を音声で伝えてくれるソフト)の動作で画像の内容を読み上げることにも繋がるということ。SEOだバリアフリーだと行っても、結果としてはそれらが同値であり根源的に繋がっている話題だと言うことをこの事実はとても雄弁に、スマートに語っています。

一方、PCソフトの開発にあって様々な環境設定を用意する。これも多用のニーズを吸収するために欠かせない工夫です。
しかしそれらを突き詰めるほどデバッグにかかる工数が指数関数的な伸びを示すのだから開発者の誰もが大変さを感じるのです。

Webページ作成は確認するブラウザや環境の数が少なければ少ないほど早く結果を出すことができますし、PCソフトはユーザの介入を減らす(自動処理に近づける)ほどに、デバッグの工数を削減できます。
開発者にとって、どちらも大切なことは分かっていつつも納期という現実への対処としてほどよい落とし所を如何に見つけつつなお便利を追求できるか。それは腕の見せ所でもあり悩みの種でもあるのです。

そこへくると本作のシステム部を開発された有限会社レジスタさんは一体どうして開発をされているのだろうと心の底から興味がつきないのです。
メッセージ速度やウインドウ透過度が、128段階あることは凄いにしても一般的項目として、
スクリーンアジャストとメッセージウインドウ位置を個別に設定できる、
スキップ停止時のバイブレーション設定が可能
ゲームロード時の初期動作設定(何も無しかオートモードかスキップか洗濯)
スキップ停止時、オートモードに切り替わるか通常モードになるか、スキップそのものを停止するかを選べる…
一体こんな丁寧極まる環境設定項目をどのようにすれば作ることができるのでしょう。
更には、これだけ大量の実装がありながら、画面表示素早いロード時間ほとんど無し、セーブに至っては冗談でなく一瞬と、明らかにPS2のスペックを通り超えた所にある異次元の快適さを実現させていて、それでいて上記の設定項目の内容充実具合であるからこそなお素晴らしいのです。

本編で扱われる題材は現在より直情的に進歩した情報工学に下支えされた世界。それを描写する説得力をゲームそのもののインターフェイスで実現した。
それだけで本作がどれほど志し高く開発されたソフトであるかが了解せられ、この意味だけにおいてもぜひ多くの人に触れていただきたい作品です。

内容

4人の主人公がいて、いろいろする。…街や428、Ever17。あのような雰囲気(どれとも微妙に異なる)でしょうか。

フルコンプリートを目指さない場合、全てのシナリオを「正しい方向」へ向ける、ということがゲームの目的となります。
各キャラのシナリオは、中途歯抜け状態になっていて、別キャラのシナリオをクリアすると他のキャラで抜けていたシナリオが埋まって読めるようになり、そこで新たな選択肢がでてきたらそれも良いものをえらび。。(デフラグシステムと言います)。
こうして真実へと頑張って近づいていく。

これは皆様お察しの通り実にリプレイを要す仕様です。が上記のとおり本当に快適さを突き詰められるオプションが充実していますので、現実には殆ど気にせず遊んでいけることでしょう。

真実へとたどり着けば後は長いエピローグ兼まとめ。前半はユニークなADVをゲームとして楽しみ、後半はその結果を物語として楽しむ。

そのような楽しみ方ができる本作の題材は近未来SF。設定交渉が2006年当時から直線的に進んだ30年後として構築された世界観ですから方向性はリアル路線(ファンタジー要素についても何らかの理由付けがなされる場合が大半)という内容。

ICT、情報工学、遺伝学。その方向のお好きな方。今では安価に入手いただけると思いますのでぜひ一度あそんでみてください。

あらかじめ知っておくとより快適に遊べること

特に平素の日常シーンや戦闘シーン(アクションシーン)が実に冗長で長々していて、正直読んでいて大変しんどいです。疲れます。
いえ、日向君と天音先生との科学講座(月の満ち欠けの講義他)はむしろ実に興味深く面白く拝聴させていただいたのですが、サミユミがこーすけいじってあそぶ場面を代表とする本当の日常シーン、そしてエクサークビルでのバトルの「かえるさん(笑)」の部分などはもう少し遂行してもよかったのかもしれなくもないなと思いました。

これもまた本作の傾向なのですが、とくにBルートの宮田浩介君関連の描写に、少し行き過ぎとも感じられるフェミニズムを垣間見ることが出来ます(中の人はコミニュケーション(笑)としておそらく書いたであろうDV描写)。そこだけは、あらかじめそういうものだと思って見ておくのが良いかもわかりません。

最後に……

本作にはエレシュキガルという盲目のキャラが出てきます。
彼女周辺の描写について、その心情を含めて実によく丁寧に描かれています。

現在の日本では視覚障害のある人がPCやスマホを使ったりゲームを遊ぶこと自体が殆ど認知されていないことを考えると、創作物の中にあって自然とそれが「起こること」として描かれているという事実。そのことに本作の持つ潜在的なポテンシャルの高さと情報工学を扱って物語を描くと言うことに対する純粋な覇気、そしてその理念の崇高さを感じました。

正直冗長でしかも長々した内容ですが、最後まで遊んだ感想として実に良い思い出となったゲームでした。機会がありましたらぜひお手にお取りいただけたら嬉しいです。

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