シアトリズム ドラゴンクエスト
開発 | インディーズゼロ SAKATA SAS |
メーカー | スクウェア・エニックス |
ジャンル | シアターリズムアクション |
対応機種 | NINTENDO 3DS |
ダウンロード版・ならびに無料体験版入手先 | ニンテンドーEショップ |
備考 | カーソル移動音あり ・・オートセーブ対応 追加楽曲をダウンロード可能 |
はじめに
リズムアクション。
コンピューターより提示されるリズムをプレイヤーが演奏して得点を高めて行くこのジャンルも、そのルールや操作性には様々な種類があります。
マット、ターンテーブル、ギター、ドラム、洗濯機、作品毎に異なる入出力デバイスの違いはそのままプレイヤーとの相性となります。
重要なのは肌に合う作品と出会うことです。
しかしその肌に合うかどうかを確認する前にプレイの敷居が高く、あるいはそう感じられ敬遠されたらばどれほどの便利も認知されない=存在しないと同一になります。況んや視覚障害においてをや。
そこで今作シアトリズム ドラゴンクエストを考えるのでありますが、一言で申せば「旅館のような作品」でした。おもてなしの塊、サービスの塊。元々難しいゲームを遊ばせてあげるスタンスではなく、様々なお部屋を用意されて好きな所へ投宿できる。お料理がお風呂が楽しめる。そんな旅館の精神を激越に実感したのであります。
以下、そのおもてなし要素を列記してまいりましょう。
お料理としての音楽を楽しめる喜び
ドラゴンクエストの音楽を作曲されているすぎやまこういち先生のお言葉に、音楽はお料理のようなもので、クラシックのオーケストラは中でも大変なご馳走とあります。
そしてドラゴンクエストのオーケストラ譜は東京都交響楽団、NHK交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団によって録音され、発売されております。
オーケストラ演奏が好きな方がゲームへ入る入り口としての本作を考えたとき、それはそれは素晴らしい入り口と思うのでございます。
と申すのは、本作の収録楽曲は内蔵音源、即ちコンピューターの発する電子音により構成されています。
さて、ここでご注目であります。最近の電子音の凄まじさ。リバーブ、エコー、残響、エフェクト、無限の同時発音数を駆使して再現された「譜面」は、3DSが本来備えていたサラウンドシステムと合体することで凄まじい大開花。リズムアクションをオーケストラの「演奏ではなく譜面」で楽しめるこのゲームの価値は、この意味からも計り知れないのです。
機械演奏ですからリタルダンド(徐々に速度を落とす)もIIIのラーミア、Vの結婚ワルツを筆頭にいくつかあるのですが、その「遅くなる速度が一定」なので「ゲームとしての合わせる理不尽」が皆無。リズムアクションの「オブジェクト」として音色とリズムが構成されたのは内蔵音源が本作に採用された最も大切な要素です。
オーケストラを楽しむリズムアクションとして、ぜひ本作をお薦め申し上げます。ファミリーコンピューターの、同時発音数3のモノラル音源から、30年でここまで進化してまいりました。その変化進化の流れも二つながら、お楽しみにいただけましたらと思います。
音質に不足を感じられたらヘッドホンでプレイしてみてください。ヘッドホンは旅の扉になります。別世界の音質がプレイヤーを待っております。
リズムアクションとしてのわかりやすさ
ボタンの押し分け、方向入力。これらが場合により壁となることを本作開発の皆様は、サカタSASの皆様は、インディーズゼロの皆様は決して見逃されませんでした。
難易度選択画面でYボタンを押す毎に、ノーマルモードとシンプルモードが入れ替わります。
このシンプルモード、ボタンの押し分けや方向入力の上下左右の概念がゲーム内から消え去り、単押し、長押しのみでプレイ可能となります(それでも難しい曲は難しいのがまた素晴らしい)
加えていいのが、このシンプルモードにも3段階の難易度。ふつう むずかしい げきむず が、ノーマルモードと同じように用意されていること。これは小さくない、本作の素晴らしい要素です。
簡単なモードは初心者しかやらないだろうから難しい難易度は必要ないとの考え方が、合理的なように見えて実はそうされた側が「事実上切り捨てられたと感じる」ことを、このシンプルモードの難易度設定可能なシステムを構築頂いた方がお考えに頂けた嬉しさに言葉を失います。
本作が旅館であると申したのは全くこの意味においてです。
ですからワンボタンの簡単な譜面の上達先として、ワンボタンのままのプレイが許されている本作はぜひ多くの方(視覚障害含む)に触れて頂きたいと感じることです。ぜひご一考ください。
基本システムとしてのオートセーブ
楽曲選択画面への到達。ここはオートセーブの終了を意味しています。
不意のバッテリー切れ、別のソフトのプレイ、全てがOKなるこのデザインの素晴らしさ。
ベヨネッタ2も然り、自然とユーザーが納得して「区切りを認識できるメニュー画面でのオートセーブ」な構造由来の便利、広まればと思います。
セーブの方法を学ばなくていいのは本当に便利であるのですから。
のべつまくなしでない。本作には「取り返しの付かない要素」がほぼ存在しない。故に安心してオートセーブを楽しめるのであります。その環境作りにも心からの感謝を申し上げたいのでございます。
無料のダウンロードコンテンツ
本作の追加楽曲ダウンロードは全て無料です。
ぜひ3DSのWi-Fiサービスが終わる前に継続中に本作をプレイいただき、これら楽曲を入手頂けましたらと思います。
理想は…Switchにリメイクされて全て最初から収録、となることなのは勿論ながら。
登場キャラクターを知らないでよい喜び
4人のキャラクターを選択してパーティを組み、プレイしてゆく本作。
ここで大切なのがそのパーティメンバーの過去、人物、来歴、目的、立場等を全く知らなくて差し支えない構造です。これは同じドラゴンクエストクロスオーバータイトルのドラゴンクエストヒーローズで、各キャラクターの過去や出身世界について必要以上に語られなかった親切を思い出します。大切なのは今、そしてその人物との出会いも今あることと教えられます。
シリーズ未プレイの方、本ページを御覧頂いたのも何かのご縁です、どうか安心して本作をお手に取りください。
夢で終わらせない
ネイティブタッチデバイス世代の、タッチでプレイしたいとの願い。
視覚障害がある場合に、目視せずボタンでプレイしたいとの願い。
その全てに本作は応えます。
人間を機械の事情に合わさせるのでなく、人間の側に合わせて動いてくださるシステムが本作にはございます。
その哲学と実際の利用の両方に感謝されるのでございます。
おわりに
新規セーブデータ作成後の初期設定の終わらせ方、シンプル操作への切り替え方。レベル上げ、折れない心。ヘッドホン。より遊ぶならWi-Fi環境とニンテンドーアカウント。
これだけあれば十二分に、少なくとも視力を必要とせずにスタッフロールへ至れます。
ポケットのお供に、お鞄のお供に、どうぞお一つお試しください。
IIのエンドに「この道わが旅」などと申します。
旅館とは「旅の館」と書きます。人生と題される旅の、きっと素敵な宿場となりましょうから。
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視覚補助情報
本作、視力を用いずそして画面内のありとあらゆる台詞を理解せず、スタッフロールへ到達叶いましたことをここにご報告申し上げます。
ここから下は、主に視覚障害をお持ちの方へ向けてお届けいたします。
具体的に本作のクリアへお役立て頂ける情報をそろえました。
あるいは今作、ドラゴンクエストシリーズで初めて視力を終始必要としないタイトルとなる可能性が濃厚。
その実際へ、ぜひ御利用ください。また、随時適宜、追加いたします。
タイトル画面
ゲーム起動後、ホルン5度のBGMが鳴り始めればそこがタイトル画面。Aボタンを一度押すと方向キー左右でセーブデータを選択する画面となります。
ここでは
左右=移動
Aボタン=セーブデータのロード
Xボタン=ダウンロードコンテンツの入手
Yボタン=セーブデータの削除
となります。
作ることのできるセーブデータの数は2つ。
新しいセーブデータでAボタンを押すと新規データ作成へ入ります。