WHITE ALBUM2 幸せの向こう側

ジャンル:ビジュアルノベル
メーカー:アクアプラス
対応機種:PS3/PSVita
備考:主人公込みフルボイス、全操作 システムサウンドへ対応b

はじめに

オーソドックスという強さ。
ソフトウェアとしての安定性。
極まった基本。
現実と重なるプレイング。

ホワイトアルバム2とは、主人公である北原 春希君の視点を通して体験するその人生4年間、あるいはそれ以上、そういったビジュアルノベルでございます。
台詞と活字と演出で物語を楽しみながら、時折現れる選択分岐の選び方によって未来を決定していく構造。物語へと安心して没入できる、いい意味でのシンプルさがここにあります。
主人公込みフルボイスということで、更に評判を読めば心に刺さる、やってて辛すぎる、落涙したなどの真に迫る評判が満々とされていたのでこれはやってみなねば後悔するに相違ないと思い入手。
購入しまして大正解でした。

けいおんとファミレスとファイルサーバーと外国と

本作には構造の面白さがあり、第一章に当るIntroductry Chapterには選択肢が存在せず、続編ともいうべき第二章の「Closing Chapter」から分岐が始まる。自然とチュートリアルを組み込んで出荷されているのは、本作が生まれて初めて触れるビジュアルノベルだったとしてその際の安心こそ高めていただけて実に素晴らしいことなのです。
それはさて、そんなシステムの親切に抱かれながら体験する肝心要の物語では、主人公の高校生がやがて大学生となる。
とりわけ丁寧に描かれるのは恋愛が生じる土作り万般の描写であります。
相手への好意を抱くこととその一線を越える壁、その後の変化を丁寧に描く舞台として周辺事情がとても生き生きとされていて、Introductry Chapterではピアノ界隈、軽音楽部の学祭での出し物とその準備に関わるあらゆる描写は、実際そうだろうと自然と納得されるほどの情報量で描かれるがために、
例えば既に学祭が過去となったリアルであっても当時を思い起こすに十二分の出来事があると描かれること。これは出色なのです。
委員会間の渉外が骨であること、当日直前のトラブル。リハ独特の空気。リアルさがそこここに遍在するのです。
そんな高密度な舞台で描かれる恋愛ですから、賛否はさておいて個々の事情が全く理解されるし納得される具合。そうか、そうきたか。おお、ここで分岐が来るか。こうして心情の動く動くこと。感情移入するほどに有り難い心情となる本作が、とても使いやすいUIに包まれながらプレイできること。こんな幸せもありません。

感情移入VR

恋愛の心持ちを実感するに際し、主人公への好感をプレイヤーが抱くかにはケースバイケースと思います。
どうも尊大不遜傲慢に思えなくもないことですが、同じアクアプラスさんのRoutesの主人公もかなりの不遜キャラだったので、どうやらこちらのメーカさんは主人公不遜キャラが伝統行事のようです。
しかし北原君は相応に節度があり謙虚さも端々に発揮しているので、激烈に社会性の面からの不快感が生じるリスクは比較的少ないように思います。
むしろ突発事態への冷静な対応は性差を超えて惚れるかっこよさです。
その日頃のかっこよさと恋愛時の優柔不断、玉虫色具合のギャップこそは彼の個性。本作で特にやきもきされるのは恋愛界隈の彼の情動と思われます。
それが制御出来るようになるのは二章からなので、本作に初めて選択分岐の現れる瞬間は、故にこそは待ちに待った待望の具合とも思われます。
そんな主人公を時に眺め、時に感情移入しながらプレイする。
特に感情移入へうまく成功できたなら、
彼とともに一喜一憂できる体験は物語のボリュームもあって十二分に味わえることであろうと思います。

おわりに

主人公フルボイス以外にも、
各種システムサウンド完備、
環境設定は項目の値上限下限がカーソル移動音のなくなることで了解できる構造、
PS3では振動ありと、
とにもかくにも丁寧が極まる本作。

主人公への共感をさておいても
本作の作り込まれた要素それ自体へ惚れる、そういった楽しみさえもこの作り込みは果たすことかもわかりません。

加えて申すなら、同社の過去作であるRoutesというタイトルでの、
エンディングBGMがひっそりしれっとかっこいいエレキギターアレンジで登場している。
知らなければ気にならない、知っていれば狂喜乱舞。この上ないサプライズにてファンサービス。
ファンサービスですがその事実を新規さんが知っている必要は全く無い。この匙加減がまたとても気持ちよくて。

同質の気持ちよさは端々にある本作です。
より広く知られ楽しまれることを願います。
  それでは今日はこのあたりにて。

視覚補助情報

以下、本作を視力を用いずプレイするに際して活用可能な具体的情報について記します。

タイトル画面でのロード:

スタート




ゲーム中のセーブ:

三角





ゲーム中のロード:

三角





ゲーム中三角ボタンにより呼び出せるメニューの構造:

上下循環あり カーソル位置はメニューを開く度に初期化 最初は何も選ばれていない


ダウンロード版入手先

>PS Vita版
PS3版

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