十三支演義 偃月三国伝1・2
ジャンル:ADV
メーカー:アイディアファクトリー(オトメイトブランド)/RED
対応ハードウェア:PSVita VitaTV
はじめに
長さがあるアドベンチャーゲームをプレイし終わった時には、作品自体が終わった達成感がまず心中に訪れるのでございます。
PS Vitaにはトロフィーという実績収集機能がありまして、ゲーム中に特定のエンディングを観る、特定のシーンを閲覧するなどで順に取得されていくのでありますが、これには勿論フルコンプリートも含まれています。
作品のフルコンプリート時に獲得できるものを題して「プラチナトロフィー」と申します。
もしもこちらを手に入れたらば、それまでの日月を思い起こすほどに達成感は湧き上がり、続いて充実感が心中を埋め尽くすのであります。トロフィーとはやはりよいシステムです。
そのプラチナトロフィーを視力を用いず獲得が叶い、主人公にボイスないフルボイスでも内容把握が容易である故を示しながら、本作をご紹介できればと思います。
PSPで出た2つのソフトをカップリングHD移植した本作はとても充実されたボリューム。
故にこそは、長くても決して到達ができないわけでないこの極点を、必死にでなく日常の伴として楽しむ、実感が広がることを願っています。
鬼気迫るユニバーサルデザイン
オートモードOn/OffとスキップモードのOn/Offを除く全てのUI操作にそれぞれ異なる効果音が設定されており、夥しく視力の代用となります。
選択肢に到達したら最初はどの項目も選ばれていない状態になっており、誤操作を防止するよう構造されています。
詳しいUIはこちらのウィキへまとめてございます。
こちらを読みながらプレイいただきますと、多くの場合に問題なく進捗のいただけるものと思われます。
加えてはとても素早いロード時間。クイックセーブからクイックロードでの再開も一秒とかからず可能ですから、
1.選択肢直前でクイックセーブ
2.片側を選び読み進める
3.クイックロードして別の側を選ぶ
4.クイックロードして好きな側を再度選ぶ
といったことの、精神的にもやりやすいことときたらありません。
丁寧親切。それが物語だけでなくシステムにも充実されているのは本作の大きな特色です。
そして親切は演出へも現れ
特に先述の選択肢選び直しが有り難いのは主人公ボイスがない本作故にこそです。
相手の受け答えこそが情報なのですから、その比較ができる便利は言語を絶するのです。
本作の主人公、関羽も大変素朴な性分として描かれているものだから相手との会話で、いい意味で受け答えが想定できることで、ボイスがない事実へあまり不便を実感しなかった印象であったことを思い起こします。
作品によっては主人公に大変明瞭な個性や物語での役割があるにも関わらずボイスがないことでただならないアウェイ感を実感することは決して少なくないからこそ、これはとても貴重な事例と考えられるのです。
王道の物語に王道のシステムある本作が広く知られることを願います。
終わりに
機動戦士ガンダムSEEDが好きなのですが、本作にはとりわけ近い魅力を実感するものです。
則は、
固有名詞以外へわかりやすい言葉遣いを徹底する
深いテーマの物語をわかりやすく描く
ことを徹底されていたこと。
本作のこれまで数ヶ月に及ぶプレイを思い出したとき、そのようなことを考えました。
三国志を知らなくても性差年齢にかかわらずお薦め、との表現を抵抗なくできるこの幸せ。
わかりやすさの徹底が芸術的な領域まで深められている作品へと接すると味わえる、王道の迫力。
親切は幼稚ではない。本作にそんなことを教えられました。
ボリュームのある本作です。Vitaを外へ持ち歩く上でのお伴におひとついかがでしょうか。お薦めいたします。
それでは、今晩はこの辺りにて。
入手先
パッケージ版
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