紫影のソナーニル Refrain -What a beautiful memories-
メーカー | ライアーソフト 株式会社ビジネスパートナー |
ハード | XBOX360 / PS Vita / Vita TV / PSP |
ジャンル | アドベンチャー |
備考 | 主人公、一部モノローグフルボイス |
ダウンロード | XBOX360 PSVita PSP |
物語
蒸気機関の怪獣的進化により青い空は失われ、代わりに我々の世界より数年速い種々の発展が遂げられた1907年ニューヨーク。
この街は5年前に発生した厄災《大消失(人災か天災かは不明)』により廃墟となって久しい。
1902年、町が滅ぶまさにその時、ある碩学を支持した主人公の思い人アラン・エイクリィは厄災の中心でまるで後事を誰かに託すかのように周囲の有様を録音する。
主人公、エリシア・ウェントワースは思い人アランの軌跡をたどるため、不自然に隠匿された厄災の真相を知るため、代償質より5年の後、「人」の全く消えたマンハッタン島へ足を踏み入れる。
陸軍の包囲を突破し島へとたどり着く。中途、あやうく転落しかけた己が体を同行の自立式多脚自動鞄のジョンと共に無事上へと登り旅を続ける彼女。
最初に訪れたのはニューヨーク市スタテンアイランドとブルックリンを結ぶ上下2層の大橋、ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジに設備された街区跡であった。
一方その頃、地下へと落ちるもう一人の主人公、リリィザストレンジャーの姿があった。落ちた先で奇っ怪な巨人に捕縛されそうになる。すんでのところで美しい女性に救われた彼(彼女)は、地下のヴェラザノへと招かれた。そこには小さな生命モールが満ち、メタルの軋む音と共に人の姿があった。
今、美しき記憶を辿り紡ぐ物語が始まろうとしていた。
概要
文章を読み進めながら先へ進む、テキストアドベンチャーです。
本作のゲーム性としては、時々新聞(ワシントンポスト)があらわれ、記者が現地を取材した様子が記されているものを読むことになります。
この文章には検閲された箇所があり、そこを複数の選択肢の中から2つ、あるいは3つ見つけることで、物語を先へ進める道が開ける構造になっています。
逆に、そのワシントンポストの場面で全て正解できなければ先へすすめないとも言えます。
しかし、結論から申せば全く大丈夫です、視力を用いずにクリアできますのでどうかご安心を。
こちらの場面、正解、不正解が音でわかるのであります。
正解の場合はタイプライターの印字音がして内容が修正され、間違えた場合は地下世界に浮かぶ顔面付きの月に(駄洒落じゃないですよ)、ケラケラと嘲笑される演出が入ります。
これであとは、トライアンドエラーで当該箇所をクリアすれば、一切画面へ頼らず先へすすめることができます(詳細は後述)。
シナリオは分岐の無い1ルートで、それをゆっくりじっくり楽しむつくり。どうか、異なる発展を遂げたニューヨークの冒険をお楽しみください。
おわりに
本作の舞台はニューヨークですが、もうすこし踏み込んで現実の人物、旧跡、事績が多々登場し、そこも魅力となっています。
ルチアーノ氏にネス警部、アーネスト氏、そしてトーマス氏。土地でもヴェラザノに加えてブロンクス、クイーンズブリッジ、ウォール街にブロードウェイ。
クイーンズブリッジ団地がロングアイランドへ現実に設営されたのは1939年のことで、ヴェラザノ大橋にいたっては1964年。本作世界における蒸気機関の発展がどれほどの速度で人類の進歩を早めたかが思われます。
オムニバスな物語構造をしており、次はどの地区で誰が出てくるだろうと楽しめる作りなのが素晴らしい工夫です。
もうひとつ本作に素晴らしいのはBGM。どの曲も大変主旋律がはっきりしており、実に耳へ残る名曲なのですが、特に「地下の詩」が語られる場面のBGMは、ストリングスとバグパイプによる淡々としてもの悲しく、なのに敢えて粛々行われる演奏によって、紡がれる地下の彼らの言葉「詩」を、とてもじっくりとリリィとプレイヤーの心に刻みます。この場面で涙腺がうるんだのは、これまで3度4度の話ではなかったと思い起こされ、悲哀と温かさと諦念と、しかしその底に僅かに残された希望が自然に混じり合う、この演出はぜひ皆様の体験いただくところとなられるのを祈念して止みません。
そして本作のテーマ「5年前の出来事をどれだけ憶えているか」。記憶の風化を体験として在り在りと感じられる描写の数々は、決して物語の中だけでの出来事に止まりません。
現実に生きる我々が生の体験や知識を伝え、語り、後生へ残せる幸せ。今は更にSNSがあるのですからそれが容易になった今日はとてもよい時代なのだと本作をプレイするとあらためて思われるのであります。思えば検閲された新聞記事の告発を曝く本作のゲーム性は、その「伝えること」の難しさと大切さを味合わせてくれるとも言えます。
本作には詩的表現が多く含まれ、結果文章に冗長な部分があります。しかしそれも演出の一部、ジェットコースターでいう上り坂。そこが長いことも折々ありますが、トータルで見たとき、最後の怒濤を思う時、よい作品に出会えたとあらためて感じ入る次第です。
旅情感ある物語のお好きな方、スチームパンクのお好きな方、クトゥルー神話のお好きな方、様々な方へおすすめの本作。是非一度、どんなものだろうとプレイしてみてください。
★視覚補助情報★
本作は、以下の情報を用いることで、エンディングに至るまで、全て視力を用いずに、視覚に頼らずに、画面を目視することなくクリアが可能です。筆者自身を被検体として検証いたしましたので間違いありません。
基本的にPSP版で説明を記します。XBOX360版については適宜追記します。
初回起動
システムデータの作成を問われるので、そのまま丸を2回押すことでデータ作成となります。
これは初回起動時のみで、その後は自動的にオープニングムービーへ遷移するようになります。
タイトル画面
途中からテンポの変わるかっこいいオープニングムービーが終わったらマイナーコードのピアノジャズ、ここがタイトル画面でございます。なお、このオープニングムービーは罰ボタン、もしくはスタートボタンでスキップできます。
こんなオープニングムービー>
タイトル画面で丸ボタンを押すとシステムデータのロードが発生します。PSP版はそのまま自動でタイトル画面へ移動、XBOX360版はセーブデータのロード先をローカルかUSBかクラウドのいずれかから選びます。
タイトル画面の構造は次の通り。まず縦3行、横2列の構造であること、そして1行1列目が初期カーソル位置となります。
内容は次の通り。
スタート ロード
コンフィグ エクストラ
インストール
つまりロードをする場合は、右 丸 と移動することになります。
インストールはPSPのみ。特にUMD版を入手された方は快適なプレイのためぜひとも実施ください。
インストールは、タイトル画面を出してから 上 丸 で実行。
その後説明ダイアログが出るので丸、そうするとPSPのシステムソフト標準のダイアログが出現、インストールの実行可否を問われるので、選択肢左側の「はい」を実行。十数分待つ。罰を押して左右に動ける項目が出てくる場合はインストールの最中、もう一度罰を押してインストールを再開、罰を押してタイトル画面へ戻ったらインストール終了。
ゲームプレイとコンフィグ
スタートボタンでオートモードのOn/Offを切り替えます。
XBOX360ではXボタン、PSVitaやPSPでは四角ボタンでメニュー表示。
メニュー画面は横並び、カーソル循環有り。
クイックセーブ クイックロード セーブ ロード 前の選択肢へ コンフィグ 閉じる
の順に並んでいます。
「前の選択肢へ」の下には「次の選択肢へ」があり、クイックセーブの下には「タイトル画面へ戻る」があります。
「前の選択肢へ」は、即ち
四角 左を3回 丸 丸の操作で実行可能。新聞記事の検閲箇所探しに重宝することでしょう。
コンフィグは上下移動、左右でパラメータの調整、LRでタブ切り替え。
まず1ページ目。
初期設定状態から、まずは、
上 上 丸 右 丸と操作ください。
これで、スタートボタンでのオートプレイが可能になります。
バグなのか何なのか、ここはオートモードの自動停止タイミングをチェックボックスのOn/Offで指定する場所なのですが、デフォルトで入っている「ムービー」と「アイキャッチ」のチェックがあるとスタートボタンでのオートプレイが動作しない次第です。
そうして、罰 しばらくして 丸。
こちらの操作で環境設定を保存します。(XBOX360版ではシステムセーブのダイアログが出るので「上 A」を追加入力)
さて、あらためて1ページ目の説明を続けましょう。
コンフィグを開いた直後の状態から、まず下を一度押します。
ここはメッセージ表示速度、右ほど速いとなっております。音声のみで本作をプレイされる際は最速で問題ありません。
さらに2つ下、ここはオートモード待ち時間、左ほど短いとなっております。左端に設定するもあり、初期設定のままでプレイするもありです。
続いてRボタンを一度、ここは2ページ目となります。
ここには音量調整がございます。
最初に選ばれているものがBGM音量、
その下が効果音音量、
更に下がボイス、
その下がムービー音量、
最後にシステム音量となります。
BGMは主旋律がはっきり聞き取れる程度に小さく、効果音はそこそこに、ボイスは最大、ムービーも最大、システム音量もわかりやすく操作するためには最大がよろしいかと思われます。
そして全て設定が終わったら、罰 しばらくして 丸。
これで準備が終わりました。
セーブ
ゲーム中に
四角 右2回 丸(ここで「セーブ」を選び開く)
しばらく待つ 丸
しばらく待つ 左 丸(ここで)セーブ確認に「はい」を選択
しばらく待つ 丸(セーブ終了通知に再び「OK」を押す操作)
罰を2回(ゲーム画面へ戻る)
※なお、この操作は上書きセーブにおいてであり、初回セーブでは上書き確認は行われずすぐにセーブされます。挙動の違いにご注意ください。
新聞の検閲探し
足音とともに場面転換、ドアが開かれバグパイプのBGMが流れたらそこが新聞閲覧パート。
次のように操作します。
下 丸(新聞を開く音) 再び丸(もう一度)紙面を広げる音)
この状態で、今回暴露すべき記事のパラグラフの一覧が表示されたことになります。
次に、下 丸。ここで、複数あるパラグラフの中から一つ目を選んだ状態になります。
ここで左右キーで文章の矛盾点をいくつかの候補から探し、丸を押すことで合否判定となります。
正解である場合はタイプライターの印字音、間違えた場合は地下世界の月の笑い声となります。
たとえば最初の新聞については、次のようにすると全て正解となります。
まず足音がして、BGMが鳴り出したら
下 丸 丸 下 丸
これで1つ目のパラグラフを選んだ状態。
次に 左 丸
ここでタイプライター音、この箇所が正解であることが示される。
もう一度丸を押すとパラグラフ選択画面へ移動するので、下 丸 と操作して次のパラグラフへ。
ここは 左 左 丸 と選択。タイプライター音により真実が暴露される。
もう一度丸を押し、次のパラグラフへ。 操作は 下 丸。
ここは 左 丸と実行。すると部屋を出る演出の中途にキラキラとした音が流れて、絵本が出現します。
その絵本の朗読がエリシアによりはじまったなら、このパートはクリアとなります。
これを何度か繰り返しながら紫影の果てを目指す、これはそんなゲームです。
上述の通り、ゲーム中に 四角 左を3回 丸 丸 とすればいつでも直前の新聞パートへ戻れますので、うまくいかなかったらぜひこの技を使ってリトライください。
それでは、良い旅を。