Only You リベルクルス

ジャンル 硬派熱血ADV
メーカー ジェネックス・アリスソフト
ハード プレイステーション2
備考: 主人公含めてフルボイス

目次

面白いゲームと面白かったゲーム」との違いについて…。
遊んでいる間はどれほど面倒でも苦痛でも、後から振り返ってそれが良い思い出であったなら決して無駄では無い。本作はそんなことを実際に「ゲームプレイ」の格好で教えてくれるそんなゲームでした(過去形)

はじめに

アリスソフト発売、ジェネックス移植のPS2ADVに「Only You~リベルクルス~」という場所移動式のアドベンチャーゲームがございます。自身の身に宿る運命が切っ掛けで家無しとなった主人公を操作し市内を昼夜問わずに徘徊しながら追っ手を撃退したり修行したり世界を救ったり恋愛したりライバルと死闘を繰り広げていく内容となっております。
基本は場所移動&行き先での選択肢で話をハッピーエンドへ至らせる目的で遊ぶのですが、同時に中途挟まるドラクエ1風タイマンコマンドバトルを闘うことで自身をレベルアップさせながらすすめていきます。
ゲーム中、画面右上の「破滅カウンター」が9999から場所移動・奥技の使用といった行動で徐々に減っていき、それが0になる前にグッドエンドへ至るフラグを立てることが目的です。
バトルパートは「攻撃/防御/奥技/逃走」の4種を使いながら闘うのですが、前述の通り奥技は破滅カウンターを消費するので乱用は避けた方が望ましく、よほどのことが無い場合は「攻撃」にしぼっての戦いになります。
後述しますがこれは安易な手段に頼らず己の拳をして事態を解決すべしというメッセージつまり演出であるのですが、基本回復しないで減り続ける破滅カウンターの存在は、本ゲームへと知らぬうちに緊張感を与えてくれています。

システム

ザコ敵が移動先選択時にランダムで現れる関係で、例えば
敵が出て来ず進む⇒固定パラメータのボス戦(強制イベントへ突入)⇒どうしても倒せない⇒必殺技を用いての対処にてどうにか突破⇒カウンター減少⇒イベントが起こせなくなる⇒最後の最後まで進めたあげく詰む
という悲劇が発生するのです。これだけならば別にたいしたこと無さげなのですが、セーブ・ロード画面開くのに6秒ほどかかる件、そもそも移動マップでしかセーブできない件、戦闘シーンをR1でスキップしてもどうももっさりしている件が徐々に徐々に積み重なることでその状態になったときの脱力&疲労&俺は何をやっているんだろう感は実際の所かなりのものなのです(A氏体験談より抜粋)
ですのでバトルについてはレベルアップ時の体力完全回復を使ってどうしようもなくなったらマップ画面から三角で移動出来る下水道で体力回復。時間の無駄を減らすべくマップに出たらセーブを指に覚え込ませてのデータと体力管理が基本となります。

そして苦行は思い出へと昇華される

最後までプレイしさて2週目と意気込んでニューゲーム。当然のように主人公のレベルアップは初期化されています。本作に「つよくてニューゲーム」などといったスイーツなシステムは搭載されておりません。
タイトル画面からして「Now Loading...」での読み込みをはさんで「アリス…」と名乗るオナゴのナビする画面を表示するのに間が取られていて、その背景も謎のきらびやかさを誇る…、便利と芸術性ならば確実に後者を取った決断が露骨に感じられるすばらしUIとなっています。
バトルとてそうで、一切アニメーションせん変な声を発する敵に、その構造を一切無視したこちらの攻撃エフェクトがまさに「重ね合わせて」描画される演出を眺めながら、1アクション毎入る読み込み時間自体を感じ筒のやりとり。台詞とエフェクトが別々に流されるというのもその冗長さに拍車をかけつつ眠気を誘います。
ある場所への移動を発想できなければ必ずバッドエンドへ至るプロローグラストを筆頭に、マップでのみ行えるセーブというシステムが故にこそ失敗に気づきにくい、あるいは手遅れになる状況が慣れるまで頻出、複数セーブデータでの運用が必用になってくる場面ですがファイル数を増やせば増やすほどにどんどん重くなるデータ管理画面。
本作を遊ぶ上で要せられるスキルはリアル世界での忍耐力、そう確信する次第でございます。

ならば何故本作がおすすめなのか。
理由は端的にて簡単明瞭。本作がタイガージョーの出てくるゲームだからです。以上。

そう、タイガージョー。
主人公を陰より見守り時に諭し、熱き漢道を説く男タイガージョー。
レベルアップ時希に新技を授けてくれるタイガージョー。
本作シナリオにちりばめられた種々の悲劇性も彼の含蓄ある様々の名言を生じるためにこそ整えられた舞台と解すならば総てにおいて納得が生じ、ある種ベタ極まる物語も予定調和も全く問題の外へと消し飛びます。

例えば主人公勇二が敵将へ破れたある一場面をいんようしますと、
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タイガージョー「立て!立って見せるのだ!勇二!」
タイガージョー「私は倒れたお前に、手を差し延べたりするような真似はせぬぞ!」
タイガージョー「聞け!!獅子は、わが子を谷底に突き落とし、這い上がってきた子のみを育てるという・・」
タイガージョー「だが、甘い!」
タイガージョー「甘すぎる!!!」
タイガージョー「私ならば、這い上がってきた子を、再び谷底に叩き落してみせよう!!」
タイガージョー「そう、何度でもだ!!」
タイガージョー「男の人生は、苦難の嵐!!」
タイガージョー「地獄の針山よりも険しいものと知れっ!」
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例えば知り合った友人の難局へ立ち向かう折に勇気づけたいと悩む主人公に対しての一場面を引用すると
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タイガージョー「それより勇二!お前は、少女の心に勇気を与えたいのではなかったのか!!」
勇二「あっ、ああ・・確かにそうだ」
勇二「だが、これはあんたに関係ないことだ」
タイガージョー「ほぅ・・ならば、問う!」
タイガージョー「今の貴様にその手段がわかるというのか!」
勇二「うっ・・」
タイガージョー「分かるまい。格闘にあけくれ、強くなることだけを考えてきたお前にはな!」
勇二「くっ・・ならば、あんたには分かるとでもいうのか!?」
タイガージョー「ああ、分かるとも!!」
タイガージョー「閉ざされた少女の心に、勇気を与える方法・・それは!!」
勇二「それは・・?」
タイガージョー「プレゼントを贈ることだ!!」
勇二「プレゼントだと・・?」
勇二「馬鹿な・・物を贈ったくらいで人の心を動かせるわけがない」
勇二「ましてや勇気なんて・・」
タイガージョー「愚かな・・さては貴様、プレゼントの本当の意味を勘違いしているのではないか?!」
勇二「・・本当の意味?」
タイガージョー「そうだ。確かに今、プレゼントというものは、軟弱な男どもが女の機嫌を伺う時に使うものでしかなくなっている・・」
タイガージョー「お前が勘違いするのも、無理もなかろう」
タイガージョー「だが!!」
タイガージョー「だがしかし!!」
タイガージョー「本来、プレゼントというものは、己の心の全てを、贈る物に託して渡すこと!!」
タイガージョー「プレゼントを贈る・・これすなわち相手に己の魂の全てをぶつけることなり!!」
タイガージョー「そうでなくて、どうして相手の魂を揺さぶれよう!」
勇二「そっ、そうだ・・確かにあんたの言う通りだ」
勇二「俺は、とんでもない勘違いをしていたよ・・」
タイガージョー「ふっ・・分かればそれでいい」
勇二「だが、教えてくれ、タイガージョー!俺には、なにを贈ればいいのか見当もつかないんだ・・」
タイガージョー「ふっ。しかたのないやつだ・・」
タイガージョー「よかろう。ヒントをやる!」
勇二「ありがたい・・」
タイガージョー「少女に贈るプレゼントに相応しいもの・・それは・・」
勇二「それは・・?」
タイガージョー「一つ! 麗しさと甘き香りを放つ花束!」
タイガージョー「二つ! 煌びやかな光沢を放つアクセサリー!」
タイガージョー「三つ! 美しい音色を奏でるオルゴール!」
タイガージョー「以上だ!」
勇二「そうか・・分かった。その3つを贈ればいいんだな?」
タイガージョー「この痴れ者がぁ!!」(鉄拳)
勇二「がふっ・・」
タイガージョー「全部贈ってどうする!?ひとつにせんか、ひとつに!!」
タイガージョー「よいか・・複数のプレゼントを贈ることは、己の魂を分散することと同じだ!」
タイガージョー「そんなことで、相手の心を動かせると思っているのか!」
勇二「うっ・・確かに・・そのとおりだ」
勇二「すまない、タイガージョー・・俺が馬鹿だった」
タイガージョー「まあいい・・それも若さ故」
勇二「だが、その3つの中からどれを贈ればいいんだ・・?」
タイガージョー「・・それは自分で考えるのだな」
勇二「そんな・・」
タイガージョー「ふっ・・情けない顔をするな」
タイガージョー「相手のことを心から想えば、おのずと結論は出るだろう」
タイガージョー「さらばだ、勇二!あの少女が光を取り戻すことを、私も祈っているぞ!」
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……いかがでしょう。伝えるべきテーマの歴然たる場合、UIがどうだシステムがどうだといった議論がどれほどの些末事であるかを痛感するテキストです。
某所レビューにて本作はタイガージョーに合うためのツールであるとの論説を読んだとき、まさに膝を打ちました。全くその通りであると。
これらの掛け合いに少しなりともシンパシーを感じたそこの貴方なら買って絶対に損をしないソフトと断言いたします。

不便だ面倒だ、それは格闘でこそなけれどプレイヤーの忍耐を鍛える修行であって、それを乗り越えてこそ、場面場面に入るアニメパートのアテレコが明らかに別取りした音声データを無理矢理かぶせたのバリバリなことを分かりつつもやはりそれを乗り越えてこそ、各ルートにてタイガージョーとの出会いがより一層のきらびやかさ鮮やかさをもって迎えられるのです。
この紹介分をお読みになった皆様へはぜひとも本作を人生のバイブルとし、己が生涯を真実の充実に満たされる結果へと至る意味においてこそタイガージョーの一言一句を薫陶と心得明日からの新たな夜明けの糧と鎹と軸と核といただけたらと思います。

おわりに

本作のおもしろギミックをもうひとつご紹介いたしましょう。一応恋愛アドベンチャーにもカテゴれる本作ですが、総てのヒロインと「恋愛状態」にならずかつ全員の問題解決が果たされた状態で迎えるエンディングというものがあります。それが醸すグランドフィナーレ感、人生における「恋愛」のみに価値を置くことが必ず正解ではないとも考えられるこの仕様。是非とも多くの方へ体験いただきたい感じです。人の魅力は手練手管でなく内より出でるものだというのは言葉ではよく言われますが、それを描写として体現したシナリオというのは特にこういうゲームではとても貴重ではなかろうかと思う次第です。
先程レベル引き継ぎニューゲームは不能と書きましたが、分岐前セーブを駆使すればある程度育った、しかも物語も進んだ状態で2週目3週目と遊ぶことができます。
この程度の壁、工夫でいくらでも乗り越えられるのです。
そうして種々の工夫を重ね、他のゲームの合間にでも少しずつルートを埋めながら、中途の描写諸々を楽しみつつ日課よろしく遊ばれるのが宜しかろうと思います。
ロード時間含めて本作は決して遊びやすいソフトでもプレイ中ずっと面白いソフトでもありません。寧ろその意味だけで考えれば確実に、あえてこの表現を使いますがクソゲーと呼ばれる側に属するタイトルです。
ノベルパート中セーブ不能、オートモード速度変更不能、ゲーム中のオプション呼び出し不能、敵とのエンカウントはランダムの運ゲー、ゲーム開始以後タイトルへ戻ること不能(正確にはリセットコマンド(L1R1L2R2セレクトスタート同時押し)を使えば可能だが実に分かりにくい)、カーソル移動音無し、音声の個別On/Off切り替え無し、決してテンポが良いとは言えない物語進行と台詞と描写。改めて酷い有様です。
しかしそんな残念さを超えて余りある良さ、面白さ、熱さそして厚さのある作品だった、これも紛うことない真実です。
タイトルメニューの「こんばんは、アリスです♪」にはじまり、めぐみちゃん(妹)の「おにいちゃん、起きて」から開始されるコテコテも極まるギャルゲ風味の冒頭。ですがそういった描写が問題無ければ、むしろ問題無いとおっしゃっていただける総ての方にこそぜひ触れていただきたい。そんな作品です。

そして共に漢道を極めようではありませんか。
本当に面白いゲームでした。
本作のプレイングが皆様が充実した時間、ひいては充実した人生を過ごされる切っ掛けとなりますことを願っております。
  それでは今日はこのあたりにて…。

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視覚補助情報

ソフトを起動後、ナビゲーターの「アリス」が出てきたらタイトル画面。
タイトル画面の構成は上下循環ありで次の3つ

デフォルトで「はじめから」が選ばれている

オプション内

循環ありで次の4つ

ゲーム設定内

ここは音声ガイドあり 最初は音声On/Off切り替えの所にカーソルがある
上下循環、項目を移動した後2秒程待つとアリスが選択中項目のナビをしてくれる(親切)
On/Off選ぶものは左がOn(突き当たる)
BGMや音声ボリューム調整は右程大きい。
設定項目内にオートモード速度やSE音量が無いような気がするがあまり気にしてはいけない
設定が終わったら罰ボタンを押す システムデータに設定変更がセーブされる
もう一度罰を押すとオプションからぬけ、最初の画面へ戻る

ゲーム中(ノベルパート)