あやかしびと

ジャンル学園青春恋愛伝奇バトルAVG
ハードPS2 PSP
備考主人公込みでフルボイス

物語

後天的全身性特殊遺伝多種変性症(ASSHS)と呼ばれる疾患があった。
その罹患者は人妖(じんよう)と呼ばれ、人の限界を超えた様々な特殊能力を持つ。が、それらの常識を超えた力は迫害の対象となり、特定地域への、重篤患者に至っては特殊な医療機関への隔離が行われていた。
主人公の青年武部涼一は幼少の折、変質者からあわや危害を加えられるかという時、逃げ込んだ公園で、そこにあったジャングルジムを操りその不審者を撃退する。恐怖からとったこの行動であったが結果として第参種人妖としての認定を受け、離島の医療施設へ隔離されることとなった。
幼年期から青年期に至るまで、彼はその離島の施設で学び成長した。
そこでの学問の一環として、彼の師とも言うべき九鬼耀鋼と出会い対人妖専門の武術「九鬼流」を教わり、その一方病院裏の森に時々出かけてはそこに暮らしていた白い雌狐(彼がすずと名付けた)との心の交流、先輩患者にして彼の姉のような存在でもあった飯塚薫との親睦などを経て、彼の人物と性格は形成されていった。
ある日、彼は自身の首に爆弾を埋め込まれる手術を受けることとなり、その折病院からの脱走を図るのだが……

このような設定で繰り広げられる物語を楽しむ、オーソドックスな選択肢分岐型テキストアドベンチャーゲームです。
視力を用いずプレイいただく方法については視覚障害者向けアクセシブルゲームまとめウィキさんの記事をご覧ください。

学園青春恋愛伝奇バトルAVG

実にスタイリッシュなジャンル表記ですが、本作の特徴を語る上でこれ以上無い文言に思われます。
まずは物語の根幹となる登場人物をずらり一覧ご紹介。

主人公が通うこととなる学園の生徒会長にして圧倒的な知謀と頭脳そして達観と思いやりに由来する強さを持つ漢、一乃谷愁厳。
同学園にて双七の担任となる、飄々としながら知勇兼備にして真に子供達の範たろうとする加藤虎太郎教師。
入院時代双七に武道を教え、とある事情にて復讐の鬼となりつつもあまりに歴然明瞭たるその事情と本来彼の持つストイックな人物がその根本的魅力を押し上げる大人のオトコ九鬼耀鋼。
執事たる地位をこなし周囲を見守る大人なる余裕を有しながら言葉でなく信頼で周囲をまとめ動かすまさに人生の熟練にして古老、烏天狗。
敵ながら堂々たる生き様を誇りとし、自身の悪業を自覚しながらもその責任と人生を全うすべくただひたむきに生き抜く僧、光念一兵衛。
とある事情から人妖を心より憎悪していたが、彼自身の根本的に穏当なる人物と「人妖を憎む」考え方そのものの矛盾に気づき、全ての始まりたる双七の長年にわたる願いを開いたこの物語のある種最大のキーパーソン、佐藤医師。

こうした魅力的の一語のみで済ませるのが実に憚られる人々の交流により進む物語ですが、主人公、如月双七こそ、もっとも魅力ある人物であるところが本作の魅力を盛り上げます。
彼の生き様は淡々としています。そのぶれなさは本人の厳然たる思い「こうしたい」「こうありたい」ビジョンが明確に定まればこその冷静さであり、ニヒルでもなければ冷酷でもなければ不感症でもありません。
粛々と生き、粛々と足掻き、粛々と全力を尽くす。彼自身の人妖能力由来の強さとは別にある確かな彼の心の強さがために発揮されるその冷静さは決して嫌みなものでないところがすばらしく、本当にかっこいい主人公と思う次第です。

さて、人妖とは疾患でありますが同時に超人設定でもあり、それを生かして折々超常的バトルが繰り広げられるところもこの物語の特徴です。
こここそスタイリッシュの典型で、その演出が画面充にリアルタイムのエフェクトレイアーを幾重にも重ねて繰り広げられる大迫力の一品で、各所のカットインとステレオSE、時にムービーさえ織り交ぜられ実にド迫力の演出となっています。
上記の様々な設定が生き生きと描かれるのはこうした演出効果に由来するところが決して少なくないと推定され、心血の注がれた圧倒的拘りにより作られたADVであることもまた、本作の魅力を高める要素の一つでした。

おわりに

本作には、所謂感動シーンと言うべきものがこれでもかこれでもかこれでもかと詰め込まれています。
多くのADVでは、そうした場面を盛り上げどころに据えるべくその手前でゆっくり日常シーンを描写したりなどしますが、本作はそうした手前の場面でも一切勢いをとどめることなく様々な人情物語を見せてくれますので実に濃密な内容となっています。
しかしそれらは、物語の流れとしてあくまでも組み込まれているのでまず泣かせようとの安直さでないことはすぐにでも理解できるほど自然に配置されていることが魅力で、ここからも丁寧に本作が作られていたとわかります。
個々人の「主義」が明確に描写され単純悪も存在しないこの物語で、プレイヤーによってはあまり賛同できない、違和感を覚える場合があるかもわかりません。それほどに本作は濃厚なのです。
ですが、そういった批判が生じる部分を消すことなく描かれた本作には、間違いない「人の心」がこもっています。
そうしたものに触れること自体が楽しい作品ですので、淡々と生きる人生を体験すること、眺めること。ぜひ一度遊んでみてください。
  それでは、本日はこのあたりにて。良きゲームライフを。

おかいもの

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視覚補助情報

ここからは、視力を用いず本作をプレイする上で役立つ情報を記載しています。
PSP版に基づいています。プレイ時にご参考下さい。

タイトルメニュー

ロゴ表示後無音からスタートボタンでアクセス
上下循環

ゲーム中動作

Lボタンでオートモード ON/Off切り替え
四角ボタンでメニュー画面表示

 ゲーム中メニューの内容は以下のとおりです 上下循環し、メニューClause後もカーソル位置を記憶します

コンフィグ

 LRでメニューを切り替える構造

コンフィグを開いた直後
R1回で音響設定へ

BGM音量 (最低から1段階、あるいは2段階上推奨)
ボイス音量  (最大推奨)
SE音量 (最低から2段階、あるいは3段階推奨)
システム音量
音声再生時BGM少音

* 各種音量設定はゲージ式で左右端で突き当たる
* BGM音量自動調整は、ON/Offを左右で切り替えた後、丸ボタンで設定が反映される

更にRボタン2回 文字表示設定へ
文字表示速度 右ほど早い&突き当たる 最速推奨

更にRボタン 動作設定へ
オートモード速度 右ほど早い  (最速推奨)

設定完了後
罰 下 丸 丸
で、システム設定の保存

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