シンプル2000 Vol100 The 男達の機銃砲座

笑う門には福来たるなどと申します。実際、笑うと副交感神経が活性化し、新陳代謝が良くなるのは科学が証明するところでもあります。ですので、みなさん、大いに笑いましょう。きっと人生たのしくなってきます。
涙は心の汗だと申します。汗とはつまるところ精神の代謝が行われた結果であり、感動だろうが失恋だろうが、泣き明かした後の気分は案外晴れ晴れとしているものです。ですので、自分の部屋とかトイレの個室とか映画館とかこの機銃やりながら、思うさま泣きじゃくるというのも乙なものかもしれません。
・・・え?何故こんな話をしてるのか、ですか?やだなぁもう、それはこのソフトが笑いあり涙ありの大感動巨編だからに決まってるじゃないですか。

概要

ここまでの文書でだいたいネタがわれてしまった雰囲気ですが、この「シンプル2000 Vol100,The,男達の機銃砲座」(長いので以下機銃と約)がどういう作品なのか、なるべく間違いの無いように事細かく説明していくのが今回の企画です。
まず、これはゲームではありません。
ゲームのようにパッケージングされていますが、そうですね、強いて申し上げるならエンターテイメントツールです。ドラマCDゲーム機能付きと申しましょうか。何にせよCD/DVD/ゲームディスクに加えて新たに再生できるようになったPS2対応第4のメディアと言って差し支えない、とても新しい何かであります(詳細は後述)。
ルールは、戦艦の砲撃種となり砲塔を方向キーで操作しながら丸ボタンで砲撃していく内容です。
それだけのシンプルなゲームが、いつのまにやらプレイヤーの笑いを誘わずにおれない伝説の作品へと大進化をとげました。
その要素を1つづつ見ていきましょう!
まず1つ目、なんとこれ、画面に映っていない敵は「存在しない」扱いになるのです。
万が一攻撃されても視線をあらぬ方向にずらせてみるとどうでしょう。一切ダメージを受けません。
ですから、「一定時間生き延びろ」という、このゲームの過半を占めるミッションの攻略は、
1.ステージ開始と同時に、敵のあまり出てこない画面左上端あたりにカメラを移動させる(端にきたら砲台の動作音が止まるのでわかる)
2.コントローラから手を離す。
3.お茶でも飲みながら待つ
これで終了となります。
即ち本作はシューティングゲームであるはずの作品でありながら敵を撃つ必要が実質0、ここまででこのソフトがどれほどおもしろいかがどことなく見えてまいりました。
しかし話はここで終わりません。
他に2種のミッションが収録されており、シナリオに応じ適宜こなしていきます。
まずは「敵を討ち漏らさずクリア」なるミッションからご案内。
これは画面前方からやってきて自戦艦の横をすりぬけようとする敵艦を、我らが機銃で撃ち落としていくものです。
まず、敵に着弾しても効果音エフェクト共に全く現れませんから当たってるのだかどうだか全然わかりません(プロモ映像にはそれらしいエフェクトがあるのに……)。
そしてしばらくあびせているとおもむろに爆発する様には独特のシュールさが感じられます。
さて、打ち漏らすながミッションですから当然1個でも失敗すると駄目なわけです。
ところが間違って打ち漏らしてもゲームは続きます。
こうした場合、スタートボタンなど押してメニュー画面からリトライを洗濯したくなるものですが、ここでもサプライズ炸裂、セレクトボタンを押すと画面のド真ん中にでかでかと「振動をOffにしました」と表示されるばかりで、ゲーム中にいわゆるメニューを開くことは全くできません。
つまり、リトライするにはゲームオーバーになるしか無いのです。
そしてゲームオーバーになりましたらタイトル画面に強制送還ですから、またメモリーカードからデータをロードし直さねばならない親切設計、
最後にはずせないのが3種類目のミッション。戦艦や要塞の主砲を撃つものなのですが、
三角ボタン連打でエネルギーをためて、
丸ボタンで発射・・・
これだけでクリアとなってしまうすてきステージ。冗談ではなく、ほんとに5秒でクリアできてしまいます。
しかもものすごい威力の主砲らしく、画面のどこをねらっても目標に命中する便利にはオートロックオンなど昔の遺物と思い知らされる記念の瞬間です。
他にも、たとえばデモに組み込まれている選択肢があるのですが、スタートボタンを押したらその選択肢ごと問答無用でスキップされるだとか、そのスキップがすこぶる遅く、デモを最後まで見た方が体感的に快適だとか、字幕とずれたタイミングでセリフがながれるだとか、エンジン出力の上がっていそうな効果音が鳴っているにもかかわらず画面は全く動かないだとか、
機銃の音がうるさすぎて台詞が聞き取れたものではないので効果音音量を下げる必要があるだとか、そのための環境設定もタイトルガメンからしか開けないとか、まだまだここに到底書ききれないほどのすてきな魅力がこのソフトには山と積まれております。
どうですか、これだけ入ってたったの2000円ですよ2000円、ものすごいコストパフォーマンスではないでしょうか。

3>日記総評

あまり良い表現ではありませんが、クソゲーという単語があり、これはなにをどうやっても全く面白くない、遊んでいてストレスしかたまらず達成感が皆無、レスポンスが悪いなど、それらの要素が全て綯い交ぜになっているタイトルを指した言葉です。
さて、この機銃はクソゲーなのかをすこし考えていきますと、私見ながらどうもこれは違うのではないかと思うのです。
シナリオは、いろいろありますがなかなかしゃれた台詞回し多数、スターウォーズガンダム銀英伝としぶいオマージュ多数、そしてテンポが良い軽妙であるとどうして良好、さて、そのシナリオとオマージュを楽しむ作品として本作を眺めてみますと、すこしおもしろいものがみえてくるのです。
先ほどオマージュと書きましたが、それは些末なシュチュエーションや台詞回しに付随するもので、根源的な設定はなかなかどうしてしっかりしているのです。
地球連邦があり反乱軍があり、主人公は連邦側に属しているのですが、その戦いの中で仲間との出会いや別れを繰り返し、更に足かけ7年におよぶほのかに長大なシナリオが展開。最後に戦争は終結するのですが、まず自分の頭で物事を考える大切さを筆頭にして、無思考に状況へ迎合するだけの生き方とは果たしてどうだろう、人同士の営みを自身の地位とを比べたときに果たしてどちらを取るのが良いのだろうかと、どうしてなかなか考えさせられる内容なのだからたまりません。
ありふれたテーマと言ってしまえばそれまでですが、一つ一つの小気味よい台詞、声優の皆様の実に熱のこもった演技にと、映像を除いた演出方面はなかなかどうして素晴らしくあるのです。
効果音も、・・・公式サイトのプロモを見ていただくとわかるとおもうのですが、ブースト音などなかなか加速をよく表していて、高揚感を高めてくれます。
力が入るところに入っていると遊んでいて実感されるからこそ、中の人におかれては端からこんなものとして提出するつもりは無かったのではないかと、遊んでいて邪推できなくもない内容なのです。
シンプル2000である環境上、予算もかぎられていたことでしょう。そんな中、豪華声優さんを大量に起用してしまったものだからそれで予算の9割食い尽くし、結果コーディングやシステム作り、絵作りなどはとても窮状を極めたのではないかと。
ですからもしこれがフルプライス6800円のゲームとして1年かけて作られていたなら化けたかもしれない、これだけは嘘偽りないプレイ後の感想であったことをここに記します。本当に惜しい一品でした。
下のリンクは公式サイトへの入り口なのですが、そこにプロモ映像がありますので一度見てみてください。
こちらを見てクスリとでも笑えたなら購入するのは決して悪い洗濯ではないように思います。
実際、筆者は本作を買い、すこし満足しました。
ただ、正直に感想をのべさせていただくなら、機銃部分を無くしたアドベンチャーとしてあそびたかったなと。
遊ばれる際にはぜひ、本を読むような感覚で気軽に触れてみてください。


参考リンク
公式サイト
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