ソルフェージュ ~Sweet harmony~

ハード PSP PSVita VitaTV
ジャンル ミュージックADV
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はじめに

私立桜立舎学苑(女子校)を部隊に音楽と学業に励む若人の生き様および日常を平和に、そして穏やかに描いた作品です。
主人公の宮藤かぐらちゃん(CV榊原ゆいさん)を中心に繰り広げられる物語の軸に据えられているのは素朴で温かな雰囲気。
物語にはファンタジーが含まれ、音楽に関するエピソードは架空楽器「フォルテール」を中心に描かれ、主人公はその奏者としての才能を有している設定のもと、様々な交流が描かれていきます。

フォルテール

魔道楽器フォルテール、ピアノ型の鍵盤楽器でありながら、音を出すだけで大変な苦労を要するのだそうです。
故は、人の心に感応することで音が出る楽器である設定によりミュージックアクションパート描写から推察するに奏者のイメージしたあらゆる音を全て再現できる、天然原理で動くエレクトーン。
劇中描写、通常タイプの他電子タイプがある設定からモチーフはピアノである可能性が高く、しかしながら「心を込めなければ音が出ない」設定によりその楽器としての魅力が随所で生きる物語となっていて本作の魅力を大きく引き出しております。そんな高難度演奏楽器フォルテールを奏せる人物のひとりとして主人公が描写されている点が、シナリオによって分岐する全てのルートで大きな意味を持ちます。

ミュージックADV

本作の楽曲演奏シーンはほんものの音ゲー。画面内を流れてくるノーツどおりに最大8つのボタンをタイミング良く入力してプレイする仕組み、そうですね……つまりポップンミュージック。
音ゲー苦手でも大丈夫、オプションからミュージックパートのオートプレイをOnとすれば、自動演奏ですすみ、物語のクリアも可能。ですのでまずシナリオはオートOnで楽しみ一度聴いた曲を遊べるフリーモード(タイトルからアクセスできる)で手動プレイとすれば、なんとはなればADVパートでの劇中歌を遊べる音ゲー同時収録の迫力を本作に演出でき、いい意味でリッチな体験をいただけます。
ユニバーサルデザインであります。

びょうしゃ

会話のテンポから本作の筆運びは決して早いものではありません。前半・中盤の日常シーンに関わる会話部分のゆったりさはかなりのもので、作風と実感されます。
描かれるテーマや物語を長い時間をかけゆっくり楽しむ接し方が似合うよう感じます。
後半、かぐらちゃんの人物としての強さが顕在化してくると、もともとの小動物的でおとなしく天然で素朴従順純粋ほがらかでポジティブな部分が更に際立つ人物となります。ご期待ください。

終わりに

女性同士の恋愛を描いた作品を百合ゲーと申します。
百合ゲーであると同時、フォルテール楽器とかぐらちゃんのよいキャラが合体することで、本作を包む空気はとてもほっとする、いやされるものになっています。
それを示すいいエピソードをひとつご紹介して、本文書を終わりたいと思います。
桜立舎学苑への入学式、とある強い思いを抱いて受験したかぐらちゃん。音楽の実技試験で彼女は入学希望者の中でただひとり、フォルテールの演奏をしました。
将来担任となるスミス先生のお言葉を借りると、技術的に未熟な部分多々あれど聴いている人を幸せにする、温かく優しい演奏だったそうです。
畢竟緊張を強いられる入学試験場で自然とそうした演奏が出来るかぐらちゃん。その人物がおっとりしながらも芯の強い一面も含んでいる事実を、フォルテールはさらに鮮やかに描く切っ掛けとして活用されているシナリオでございました。
音楽を心から演奏する大切さ。人間性を人生の仲で育む大切さを、かぐらちゃんから改めて教えていただきました。

フォルテールのモデルとおぼしいピアノの描写としておもしろい話題をもう一つ。
音ゲーパートで流れる曲はそのセッション相手のキャラソン(テーマ曲)なのですが、主にその人物との会話シーンにてそれらの曲のピアノアレンジ(インスト版)がBGMとして流れる演出で、作品内空気の統一が工夫されております。
そのピアノの演奏が心から素晴らしいのです。まるで一人称のかぐらちゃんの人物や心情を体現したような素朴丁寧で温かみに溢れる演奏。かぐらちゃん憧れのすくね様のお言葉より「フォルテールは人の心を写す鏡」とのことで、その事実をBGMの形で実現した演出でした。

こんな本作でございます。リメイクも含め、皆様も今後入手されることが有りましたらぜひ彼女の素晴らしさにフォーカスされつつお楽しみください。
  それでは、今日はこのあたりにて♪

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