うみねこのなく頃に ~魔女と推理の輪舞曲~
ハード:PS3
ジャンル:連続殺人幻想ノベル
CEROレーティング:D(17歳以上推奨)
PS3版公式サイト
はじめに…
ゲームらしいゲームという表現がございます。
キャラクタ性やストーリーなどの装飾ではなく、ルールそのもの、捜査官に依る手触りによって楽しみを見いだされる作品がこのように形容されます。
例えばテイルズシリーズ。
萌えキャラゲ男カップリングゲー非実在青少年の塊として時々目の敵にされたりすることがあるこのRPGシリーズですが、そのバトルシステムがRPGと格闘アクションを絶妙に調合し昇華した深さを持ち、TOD2以後の周回引き継ぎ要素をすべて用いてなお底が知れないおもしろさを有していてそれ故に多くのファンを獲得することに成功しています。
育てるごとに増える技、技数に比例して増える連携、ジェム・C・コアなど作品ごと名称も様々なスキルシステムから膨らむ行動の自由度、その自由を得て行動自体が進化するAI操作キャラ、限定条件で発動する秘奥義、一次的なハイパー状態となるオーバーリミッツとそれを用いるタイミングの熟考。
さらにこれらを駆使することが苦手な人へ向けて、イージー難易度は勿論なんと全キャラオート操作(作戦支持可能)が付くという意味から考えれば、所謂ストイックな格闘ゲームより広く門戸を開いている意味に置いて、より成熟したシステムと考えることさえ可能でしょう。」
これだけの作り込みが成されているもののプレイをユーザの任意とする、その心遣いがあるからこそより多くの人が手にとって、マニュアル操作も試してみて、そして愛されて15年続くシリーズとなり得たのだろうと思います。これは全くすばらしいことです。
そしてこれは、コマンド「たたかう」から連綿たる進歩を遂げた、和製RPGの到達した進化の一つであります。このように、ジャンルとは時代と共に、似ているようでも確実な進化を遂げているのです。
それは、ACTとSLGとRPGを無意識に同時に行えてしまう各無双シリーズ(株コーエー)然り、
マルチプレイがゲーム演出として昇華され、理解と納得の伴うゲームデザインの中で行動によるコミュニケーションが自然に達成されたすばらしきネトゲARPG、デモンズソウル(株SCE&フロムソフトウェア)然り、
ひぐらしPS2移植の迷走から原作領域へとシステムが昇華され、ノベルゲームにおける新たな「試行錯誤の形」を提示したうみねこのなく頃に「07th expansion&株アルケミスト」然りです。
概要
長々と枕りましたが、ここでは本作うみねこを「ADVゲームの進化の形」として考え、そのゲーム性と内容紹介に言及していこうと考えております。
オフィシャルサイトには、「選択肢でなく貴方が抗うアドベンチャーノベル。」とあります。
上の文よりご推察の通り、本作には所謂ノベルタイプのアドベンチャーゲームのデファクトスタンダードとなった「選択肢」が存在しません。
なにがどう起ころうが、プレイヤーにはそれを生還するしか許されないのです。
さて、何故この「選択肢がない状態」が「ゲーム」になるのか。
答えは簡単で、それこそがこの「うみねこのなく頃に」というゲームのルールだからです。
ゲームを遊ぶという行為は、何も画面の中だけで完結する必要はない。本作はそんなとてもユニークな示唆を、プレイヤーに与えたのでした。
そこに提示される物語や謎、情報が、その内容をホンキで悩み熟考し思い悩むことをプレイヤーに許し、それが知的遊戯となるのなら、その「提示部分」だけをゲームが行うというものがあっても全くおかしくはないのです。
これには全く驚きました。本作を遊ぶのには、コントローラーとゲーム機とモニタと、そして思考が必要だったのです。
その思考も、RPGの謎解きや推理ADVの犯人宛やギャルゲのフラグ立てとは全く違う部分の脳みそを用いる。これだけで、本作がどれほど別領域に存在する「ゲームソフト」であるかということが推し量れます。
日頃使っていない領域の頭を使えるという意味で、これはある種脳トレの親戚筋にもあたるかもわかりませんが、あれともおそらく利用している部分、赤くなっている部分は異なることでしょう。
読書好きな貴方にこそお勧めしたい、これはそんな良策です。遊んだらぜひ遠慮なく存分に可能な限り力と知識をすべて尽くして挑んでみてください。本作は、その全力を我々に許してくれるすばらしい内容の作品です。
きっとこうだろうなぁが全く許されない、怜悧極まる人間美の塊たる世界へようこそ。
それでは、存分に推理をお楽しみください。
ADVのゲームデザイン
近年の恋愛ノベルゲでのいわゆる「好感度」というパラメータの上下を選択肢にゆだねるという方法は実にシステマティックながら、それを「こなす」行為を取り出した時になお楽しいと感じられる作品となると、主観で恐縮ながら本当に少ないように思われます。
共通ルートを既読スキップし、ルート毎に設定改変される主人公ににやにやしつつ、分岐でのCG回収を忘れずに、ルートを埋めていくという作業。
その、「埋める」ということがゲームの目的となるものがあり、近年はほぼその様式が一般と成ったノベルゲー界隈ですが、もう少し「運命に抗う」ことを選択肢の目的とする、そんなかまいたちの夜やPhantom、涼宮ハルヒの約束のような作品が増えるのも良いことのように思います。
逆に、選択肢が「ルートを見るための枷でしか存在し得ない場合」にあっては、ただ面倒なだけの要素と十分になり得る場合があり、そういう意味から考えれば本作や>この作品のように、そもそも選択肢が存在しない作品がもっとあってもよいように思います。
ときメモなどのパラメータいじり育成から始まった恋愛ゲーム、それとADVが核融合して誕生したギャルゲ世界ですが、こうした一本道の内容が発生したのは一つの合理化に立脚した進化ではなかろうか。これを遊んでいてひしひしとそう感じました。
ぜひ、この一風変わったノベルゲームを一度お手に取っていただき、この独特たるシステムを体験してみてください。
操作方法
@ゲーム中
丸:ページ送り
四角:メニュー
三角:バックログ
罰:ウインドウ消去
R1:オートモードOn/Off
R2:スキップOn/Off
@メニュー
* ゲーム中四角ボタンで呼び出せるメニューの一覧です。
上下で移動、丸で決定、罰で戻る、左で最上段/右で最下段へ移動
- ブックマーク(セーブとロードを兼ねる)
- 人物相関図
- TIPS(資料集)
- 環境設定
- タイトル画面へ戻る
@ブックマーク(データ管理画面)
丸:ロード
三角:セーブ
四角:削除
方向キー:移動
罰:戻る
* セーブ、ロードなどを実行すると確認メッセージが出現します。左が「はい」、右が「いいえ」となり、これは他の部分でも共通です。
@環境設定
上から順に記します。
調整は左が小/右が大
選択は左がOff/右がOn
上下/左右共に端で突き当たります。
- 画面サイズ: 右ほど大きく、右端で画面全体
- システム音量: カーソル移動音など。右ほど大きい
- BGM音量
- 効果音音量
- 音声音量
- ウインドウタイプ: 4種から選択
- メッセージ表示速度: 右ほど早い
- オートモード速度: 右ほど早い
- BGMタイトル表示: 左がOff
- 文章既読判定: 左がOff
その他
このゲームはリモートプレイに対応しています。
PSPでどこでもプレイできてとても快適、リモートプレイの詳細はこちら
* スキップはLボタンです。操作時はご注意ください。