アルトネリコ3 世界終焉の引鉄は少女の詩が弾く

メーカー:GUST
ハード:PS3
ジャンル:娘調合RPG
リンク:アルポータル
備考:パートボイス・振動非対応

コーションっ!

本文書には全シリーズを通してのネタバレ要素が含まれます。重々ご注意ください。

はじめに

ゲーム作りの方針にあって これだけお金をかけました ではなく、 これだけこだわってつくりました が明確に現れるという作品が時折現れます。
そして、決して少なくないそういう楽しいこだわりを待ち望む人々から口伝(今はインターネット込みですね)で口コミが伝わっていき、じゃあそれって具体的にどうなんだろうと気になり手に取る人が増えていき、それにつれてファンもどんどん増えていく。
思えば初代アルトネリコには、その「気になる」要素がいろいろ入っていました。
調合(作品内ではグラスメルクと呼ばれる)は、同社のアトリエやドラクエその他でメジャーなものだから想像がつきやすいものとして、魔法を習得するために精神世界を探索するアドベンチャーゲームを遊ぶというダイブシステム。
OPでは5.1chサラウンドで収録され、」劇中でも要所で出色の用いられ方をしたヒュムノスミュージック。
エクサピーコという原子の発する波動で作品内宇宙の物理法則が説明され、左記のヒュムノス語も文法から用法まで設定されているなど、背景設定ではなく世界の根幹を成立させるところからこだわられたゲーム内世界の設定各種。
難易度は低いながらもハーモニクスレベルというテンション値を前衛・後衛が共有することで双方の能力が向上され、通常RPGではあんまり目立てない後方の魔法使いキャラを戦略的に用いれるようになれる、そして熟練すれば敵の猛攻へカウンター気味に詩魔法満タンチャージで撃退するなどの演出的戦いさえかなうほどのおもしろい戦闘システム。
・・・・・・こうやって下記並べてみただけでもなんだかまた遊びたくなってきました。
しかしあれから4年経ちました今考えますと、これらを楽しいと思えたのは、その新鮮さだけではなく、よくよく練り込まれた作り込みにあったのだろうと思います(詳しくは後述)。
アルトネリコ2は、キャラの内面描写によりいっそうの重きが置かれ、コスモスフィアが扱う命題がより具体化。近親者への信頼や不振、為政者の抱えるジレンマと他社への憧憬。全力をとしての本気と本気の衝突、そしてその結果として訪れる盤石にして強固な和解。
この濃厚さはツボにはまるととても楽しく、それこそファンにさえなれれば初代より減じた、
・マップでのジャンプ不可 ・マップでの緑魔法発射不可 ・ボイス入りシーン出現頻度の低下 ・そのボイスもビットレート故か音割れ ・マップ切り替え時間と歩行速度の鈍化 ・歩行時のクロアのドット絵が背景から浮かんでいるように見える
などの要素を割り引いても十二分におもしろく、思い出に残るものとなりました。
2のDVDの残り容量はそれこそ数メガバイトだったとかなんとか。最後まで遊べば、とてもよい思い出になる迫力を持った作品でした。
一極集中と見せかけて実は広がっていましたという1から2への進化。3はそれがさらに推し進められたような印象の仕上がりとなりました。
それはどういうことなのか?これから順にみていくこととしましょう。

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おっと失礼、今日はアルトネリコ3のお話でした。
それでは、これまでのシリーズから比べて3はどういうところが進化したのか?新システムではなく純粋にパワーアップしたところをみていきましょう。
まずはなんといってもメディア容量がブルーレイになりました。
ブルーレイはすごいです。劇中に挿入されるアニメムービーの数は歴代随一の量となりました。
まず4つあるチャプターのOPにそれぞれナレーション入りで1つずつ。各章にはキャラのCGモーションで表現しきれない部分のプリレンダムービーがよい案配のタイミングで流れるのも好感触。エンディングに向かう一連の場面ではエンドロール込みで4本ものアニメーションが立て続けに流れてとても豪華な演出となりました。
ボイス入りイベントシーンの頻度もかなり増えましたよ。さすがにフルボイスというわけにはいきませんでしたが、それでもかなりのサブイベントがアテレコされている(感触としては2の長さで1の頻度といった案配でしょうか)、し、2の頃の音割れも消えてなめらかな音質になりました。
次に物語の切り口が新鮮であるのも特徴です。これまでは騎士さんが主人公でした。が、今回は村の少年蒼都が主人公。
今までみたく、表に裏に仲間や世界を支える役回りでなく、誰かを守るためにただいろいろとがんばる、途中でいろいろなことが起こるががんばる、その姿勢に周囲が動かされていくという灯台みたいなかっこいい男の子です。
ライナーやクロアの目指していた「みんな仲良く」を、個人レベルではあれど全く自然に純朴に無意識に体現しているその人となりは、このシリーズの主人公として集大成的立ち位置と言えてしまうのかもわかりません。
よく蒼都さんを批判する意見に「キャラによって態度変えすぎだろこら」というのがありますが、それは相対する個々人の特性と自身の性格(粗暴だけど思いやりがある)と自然につなぎ合わせられるという、彼のスキルだと思います。
そしてもう一つ、3の世界ソルクラスタの棟そのものであるエレミア神、ティリアの成長物語も本作では外せないところです。
物語中盤、とあるものすごくなやましい選択肢を選ぶ場面がございまして、そのうち合理主義でなく人情を貫くような方を選びますと、通称ティリアノーマルエンドというシナリオ(バトルも移動もない一本道)に入ることができます。ネタバレをスキップ



起承転を省いてお話しますと、いろいろやばい、世界もティリアも救いたい、しかし妥当な方法だとティリアがヤバいかも?ティリアと世界、どっち優先させる?やっぱこっちだろ。こんな選択肢です。
ここでティリアより語られる、自分の使命を果たすに際して己の犠牲(もっというと死)をいとわないという姿勢から、愛する人と幸せに過ごすことそれ自体のすばらしさに気づいたとの語りは、アルトネ2でチェスター先生やインフェルさんが目指していた、魂だけで成立する安定した世界の構築を果たすアセンション計画をクロアたちが否定する流れからの発展と考えることもできます。
「ただ楽なよりがんばった方がいいじゃないか」。から一歩進んで、このためにこそがんばれるというものを明確に提示したというのは、まさしくあの2があってこそ3がたどり着いた結論の一つに思えてなりません。
その会話の後特性の飛行艇により蒼都とティリアは事態の根本的解決を目指して某所へ旅出るのですが、そのシーンをバックに流れるエンディングテーマの「光の中に(詩:(KOKIAさん)」で語られるその心、

「私は今、あなたに出逢って、生きる喜びを知った
掛け替えのないただ1人の為に、生きてゆく
信じたいの、選んだこの路、険しくても正しかったと
愛する人と同じ時間を、刻んでゆくの」

本エンドに至る前にも、ダイブにてティリアの境遇を垣間見ることができます。それに加えて2で描かれた、理不尽から逃避するか対抗するかという原理の衝突。そこから一歩進んで生を生き抜くことのすばらしさを一人のレーヴァテイルの人生を通じて描いた結果としてこの生の極限とも表現されるべきシナリオをみることができたことそれ自体に、アルトネリコ3という作品が世に生み出された大いなる意味を感じました。




ほかにも待望の改良点がございますので紹介をば。
なんと2週目へのデータ引き継ぎができるようになりました。アイテム取得こそリセットされますが、レベルやお金は保持されますゆえそのポイントを計って最強データ作成に励むのも、ゲーム的に考えるとおもしろい要素です。
ただ、ダンジョン内はけっこう面倒でもあったので、このたび実装された既読イベントスキップ機能に加えて既踏破ダンジョンスキップ機能が実装されますとさらにうれしいかなといったところ。そのうちテイルズかどこかがやりそうなこれですが、ぜひ本作も目指していただけるとうれしいような気がいたします。
システム的には次作に期待といったところもありますが、根本は確実に進化してきている、そんな本作の紹介でした。
シリーズがお好きであれば、ぜひあそんでみてくださ・・・・・・・・・・・・・。。。。。

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ふぅ、つかれた。さて、こっからはリミットブレイクタイム。本作の残念だった部分を大いに語りたく思います。
筆者といたしましてはぜひとも購入のご参考といただけましたら幸いでございます。
では、スタートです。

さて、まずはどこからお話しましょう。
いろいろあるのですが、・・・・・・そうですね。では、こんな企画でいってみましょう。

必見!アルトネリコ3~1 超絶進化大全

さて、ここでは、PS3用ソフト、アルトネリコ3から初代アルトネリコ(PS2)が、どれほど改良されているかを細かくご紹介していきたく思います。
なんだか時系列が逆のような気もしますがあまり気にせずお進みください。
では、簡単に箇条書きで改良点を並べていきましょう。
極力客観性を高めるため、システムにしぼって記します。

 
3~1:
・バトルシーンで、攻撃モーションに連動した振動機能の実装
・ハーモニクスゲージの充填率により詩魔法のエフェクトや振動の強さが変化する
・フィールドマップで、ジャンプ時に飛翔音・着地音が追加
・ダンジョンRPGのように、画面上へのミニマップの表示可否が可能になった
・セーブサークルでメニューを開いた時とダイブ時にポインタ(場所)を移動する時に、効果音が出るようになった
・バトルで使える魔法の数が劇的に増加

 
3~2:
・オプション設定で効果音とボイスの音量バランスを視聴して確認できる
・ダイブ可能なキャラ数が4人に。さらに、ヒロイン同士で行うインフェルスフィアが登場
・バトルに参加できるレーヴァテイルが2人に増え、通常の魔法のほか合体魔法を発動できる
・詩魔法は、ハーモニクスゲージの上昇傾向により様々な派生魔法に種類が分岐していくという横の広がりと戦略が生まれた
・前衛攻撃も、待機時間の長短で技が変化し、」連携やモーションが多彩
 

上に上げたのは、前者が初代の特徴、後者が2の特徴で、そしてこれら全てが3で削られた要素であります。
ここだけをみれば、本当にどっちが続編なのだかわからないありさまです。
確かに3も、エンディング数の増加や集会引き継ぎなどの目新しい要素があるのですが、それ以前のところが多すぎるのです。
たとえばセーブ一つをとってもそうで、1も2も回復可能・不可能のセーブポイントが分かれていたのですが3はどこでも回復でき、それ以前に
セーブにかかる時間がとんでもなく長いのです。
1や2はファイル一覧のロードに3秒ほど、セーブ完了に2秒ほどで終わりました。
が、3は、まず通常の進行状態のセーブが10秒ほど、そのあと同じ時間をかけてシステムデータのセーブがこれも10秒かけて行われます。
これは、PS3がOSレベルで提供するセーブダイアログを用いることも起因する理由なのかもわからないのですが、もしそうだったとしても、
1.オプション画面でシナリオセーブ時にシステムセーブの実行を任意に選べるようにし、エンディング後は自動セーブされるようにする
2.セーブサークルのメニューに{タイトルへ戻る}を追加して、それを選んだ折にシステムセーブを促す
3.シナリオセーブにギャラリーの解禁条件を内包した仕組みにする
などの工夫が考えられ、よく利用される部分だけにここは至極残念に感じられました。

次はバトルシーン・・・。
アルトネリコ3はバンダイナムコの元バンプレスト部門より世に出た作品なのですが、15年かけてじっくりと熟成されたリアルタイムバトルを構築していったテイルズシリーズと基本を同じくするリアルタイムバトルがよりによって採用されてしまいました。
以下にアルトネリコ3のバトルシステムの仕様を、これも簡単のため箇条書きにてご説明いたします。
味方キャラは3人、セットできる技は4つ、通常攻撃は3段でストップ、通常攻撃のバリエーションは各キャラ1種類ずつ、飛ばせない技ムービー、音割れする効果音、バトル中イベント進行に類する演出が皆無(ある場面で、時間経過を表す意味で天井のドームが開く演出があったがそことラスボス以外はただ戦うのみ)。
振動なし、移動は等速、アイテムはメニュー中連続使用可能でノーリスク、パージをすればバトルが一時中断、レベル4の魔法を使うために無駄に頑丈になった敵、それでいて円カウント率は高い、敵の出現を封じるアイテムは効能がとても薄い。
……。どうやらこのシステムでバトルシーンを構築するには15年ほど時間が足らなかったようです。
なぜ、以前にリアルタイムバトルがボツになったのか、その理由を再度お考えいただきたかったです。
さらに今回悪かったのは、RAHシステムというバトルBGMを自動生成するシステム。
これは、様々な音データのセットをイニシャライズし、ピッチシフトなどの制御と戦闘の状況をインプットに用いて、そのときの状況に応じて音楽を自動で作曲して奏でるということを理想として作られたシステムですが、その実力が発揮される以前の段階でこのソフトは発売されてしまいました。
上を見ていただくとわかるとおり、そもそも味方が行える行動それ事態がとても少ないのです。そしてバトルの目的は相手を妥当することであり、さらにこれが用いられるのは雑魚戦闘ですのでいかに高難易度でも味方側の優位はよほどのことがない限り変化しないのです。
日頃からそういう状況にならないために装備を調えたりダイブをしたりしているのですから、逆にそれでギリギリのバトルになるバランスとするならば敵のステータスをインフレさせる必要が出てきて、特に本作は3章以後そっちにバランス調整をとるようになっていくのですがこれでバトルシーンが1回に1分以上かかる状況が当たり前になってきました。
・・・・・・であれば、1度の戦いで得られる経験値を増やして円カウント率を下げるというバランス調整を行うのが、そのインフレした強さの敵と楽しく戦えるバランスだと思うのですが、円カウント率はどうやら基本変化しない様子で、弱かろうが強かろうがバトルそのものの長さと比較すれば決して長いとは言えない頻度で出現します。
その代替策が、必ず敵から逃走できるという仕様の実装であり、ここからもこのバトルがどれだけ残念なのかが見て取れます。
 
別ゲームの話で恐縮なのですが、たとえばニーアレプリカントというPS3のアクションRPG(株スクエニ)という作品がございまして、本作の音楽は{同じ曲の複数アレンジや複数のトラックを平行してストリーミング再生し、その音量の強弱やテンポをゲームの状況によりリアルタイムに変化させる}という仕組みで音楽とゲームの場面融合を果たし、特にそれは最初の村にかなりスマートな形で工夫され演出されていました。
一方、ゼルダの伝説時のオカリナ以後は、主人公の挙動や場面の状況に合わせて、フレーズの切り替わりを待ってから音楽を切り替える方法と突然音楽を切り替える方法を併存することで空気の変化に類するものを表現することに成功しました。
また、アトラスのメガテンシリーズのバトルにもBGMのリアルタイムシフトが実装されていて、音楽の変化については他にも先例が様々に出ています。
そこにあって、リアルタイムに楽曲を「作る」ということにトライしたそのことそのものは確かにすばらしいのですが、これはまだ技術研究にとどめておくべきことだったように思えてなりません。
音楽のゲームシーンへのシンクロは、既存のパターンマッチ方式でもまだまだ広がる余地はあろうと思われますし、ほかにもバイノーラル録音で各種音素材が収録されるようになれば音の上下についての表現も擬似的に行えるようになってくると思いますが、そのときBGMはどうやって運用するのかという試作も今後求められていく技術の一つと思います。
アルトネリコシリーズは毎回挑戦的なシステムを実装し、それはとてもすばらしいことと思うのですが、もしこの流れを引き継ぐ次作があるならば、大きなチャレンジはぜひ1つにしぼっていただければ、そのかわりそれを徹底して洗練いただければと思います。
 
ほかにも、はばかりながら私的な感想を申しますなら、会話パートをとても長く感じました。
1つの会話に反語や質問が飛び交い、同じ事柄を幾度となく繰り返して話題にする登場人物たち。
本作の台詞部分を書かれた方には、シナリオ監修を作家の馳星周氏に依頼し完成度を徹底的に高めたとあるセガの極道ゲームの志と爪の垢を濃く濃く煎じて飲んでいただきたいところです。
物語そのもの、プロットは本当におもしろいし設定の深さもかなりなのに、台詞回しがこれではあまりにももったいなさすぎます。
3の発売直前インタビューで、本作総指揮の土屋氏が、シナリオ担当の新鋭ライターさんを「恋愛描写のリアリティに驚いた」と表されていましたが、このできあがりだとよかったのがそこだけだったのかななどと感じてしまうような気がしなくもなくもないです。
お話そのものがおもしろく、物語と詩とのシンクロもまったく綺麗に符号していただけに、ぜひ完全版でなく廉価版でもない、遂行版の発売を心から切望します。

総評

本作の発売が告知され公式サイトがオープンしたとき、ページを開いて{エンター}ボタンをクリックすると音楽が流れてきました(今でも聴けます)。
特に、途中ハーモニカとギターで静かになったあとの盛り上がりで手拍子が入る以後の部分ではどうにも鳥肌と感激が収まらず、好きだったシリーズの復活の喜びも手伝って心底からわき出る止めどない歓喜が筆者をまさしく長時間感泣のただ中にたゆたわせてくれました。
このBGMはフィールドマップで使われていて、この移動場面がちょっとしか通り過ぎないので劇中ほとんど聴く機会がないのが残念極まるのですが、もし本作を買われたら、序盤にフィールドに出た際に、次の町へ移動する前に少しだけコントローラを置いてその旋律に耳を傾けていただければファンとしてとてもうれしく感じます。
シリーズをプレイ済みであれば続編として楽しい要素が様々見受けられるのは確かで、また、初めて遊ぶ場合でも、まぁだいたいこんなものだろなと覚悟完了してから遊んだら思いの外おもしろいと感じるかもわかりません。
また、設定やプロット、物語の大枠を楽しみにする場合にあってはその展開はかなり先が気になるように作られています。
セーブ他の仕様で正直かなりめんどうなゲームではあるのですが、そうであってもキャラそのもの、詩そのものの魅力は確かに伝わる構造をしています。
もし冗長なテキストに免疫があるなら、ダンジョンの迷路を覚えるのが得意であれば、ぜひぜひ手に取ってみてください。

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